読者はライターに恋をする

「人は、人に恋をする。読者は、メルマガを書いているメルマガ発行者に恋をする」
なぜ、面白くないメルマガが多いのか(Japan.internet.com 2004/3 より)
このコラムを読んで、昔の仕事で聞いたある一件を思い出した。

そのECサイトでは早くからメルマガによる集客/販売に着目し、 担当者をすえてメルマガを毎週発行していた。 とはいってもちょっと文章のうまい女性社員が片手間に書いていたレベルだった。 女性社員は本名を出すのを嫌がったため、ペンネームを使うことにした。 仮にそのペンネームをA子としよう。

次第に商品数も増え、もはやメルマガを編集するには担当者が一人では不可能なほどになり、 商品説明や前文のあいさつなども完全に分業化され、 ちょっとしたミニコミ誌なみの編集体制になった。 しかしそれでもペンネームはA子のままにした。メルマガの読者からみればそのメルマガは いつもA子が一生懸命書いているように見えるはずだったし、また、 メルマガの、というよりA子自身のファンが増えてきていたからだ。

そうこうしている間に事件は起きた。「A子さんの大ファンなんです!ぜひお会いしたいんです!」 という熱狂的な読者が会社を訪ねてきたのだ。 最初にA子というペンネームで書き始めた社員はすでに退社しているし、 もし退社していなくてもそんなあぶなっかしい人に会わせるわけにもいかない(笑)。 それにそもそもA子は存在しない架空の人物なのだ。 もはやA子の実体はそのメルマガの編集チームでしかない。 サインだけでもほしい!というその熱狂的ファンを「外部のライターさんだから無理」 とかなんとか言ってどうにかなだめ、丁重にお帰りいただくことで事なきをえたのだった。

偶然の産物かもしれないが、そのECサイトはカリスマ的メルマガライターを育て上げてしまっていた。 しかも架空の。ゴーストライターと書くとなんだかネガティブなイメージがあるが、 ハンドルネームだとかネットオカマだとかが珍しくも無いネットの世界では、 そこでのビジネスにおいてもこういうやり方はアリなのではないだろうか。

この話を聞いたある別のECサイトは、早速、架空の女性キャラクターをつくりあげようと考えた。 しかし、できあがったメルマガを見て筆者は苦笑してしまった。

「○○子でぇす!2年目の新入社員がメルマガなんてまかされちゃっていいの? がんばりますのでよろしくおねがいしまぁす!」
最初から最後までこんな調子。 これではネットオカマを通り越して、キャバクラ嬢だ。(笑)

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