リコメンデーション(レコメンデーション)の現実と幻
「うちのサイトにもリコメンデーション(レコメンデーション、recommendation)機能が必要なんだ!」 と声高に叫ぶECサイト運営者が、おそろしいことにいまだに少なくないらしい。 結論から言うと、パーソナライゼーションもリコメンデーションも90年代後半のネットバブルの残骸のひとつだ。 導入して成功と言える例は世界でも数えるほどしかないだろう。
そもそもリコメンデーション(レコメンデーション)機能とはなんだろうか? 直訳すると、recommendation=アドバイス、推奨、オススメ。 噛み砕いて言うと、「ごいっしょにポテトもいかがですか?」というやつだ。 最近のマクドの店員はそんなこと言わないよというツッコミは無しの方向で(笑)。
リコメンデーション機能の実現方法には大きくわけて2種類ある。
- 他人の過去の購買データの統計的類似性を利用する
アマゾンの「この本を買った人はこんな本も買っています」が典型。 この手法を使うには次のような条件が必要となる。
- 誰もが買うものだが、個人による嗜好性の違いが非常に大きい
- 人間の能力では全容を把握しきれないほど非常に多種類な商品(少なくとも常時1万アイテム以上)
- 売れ行きに季節変動が少なく、値段は高くても5000円くらい
- あらかじめ決められたルールによって表示する
ルールベース型と言われる。「ごいっしょにポテトもいかがですか?」は マクドの店員マニュアルというルールに沿って行われる。 この手法は商品の種類がなんであれ使えるが、次のような欠点がある。
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やたらと個人情報を聞き出さなければならない
そりゃそうだ。「ユーザーが、男性かつ年収400万以上かつ既婚かつ ・・・であるならば○○という商品/ジャンル(orそのリンク)を見せる」 というのがルールベース型リコメンデーションというものだ。 企業から流出した個人情報をベースにした架空請求が全盛のこの世の中、 誰が自分の情報を易々と他人に教えるだろうか? そこをかいくぐってユーザーを登録フォームに誘導し、 根気よく個人データを入力させ、さらにサイトに来るたびに「ログイン」させて、 ようやくユーザーを識別しルールベースのリコメンデーションができる。 トップページの検索フォームに「横浜 マンション」と 打ち込んでもらうことに比べれば、その道のりは月より遠い。
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絶え間なくルールをメンテナンスしなければならない
うまいルールがいくつか思いついたとしよう。 でも長い時間使えるルールはわずかだ。 商品はときどき入れ替わる。それにあわせてルールも調整しなければならないのだ。 しかし、ルールを考えるよりも重要かつ簡単なはずのコンテンツの管理 =商品カテゴリの整理や商品画像と説明文の編集= すらろくにできず四苦八苦するケースのほうが圧倒的に多いなかで、 ルールのメンテナンスにまで手が回るとは思えない。
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そもそも定義すべきルールが見当たらない
「あの商品を買った人はこの商品も気に入ってもらえる可能性が高い」というパターンを リコメンデーションルールを定義する担当者がどれだけ思いつくだろうか。 その数は意外と少ないことに気づくだろう。 それこそ、なにを買っても「ごいっしょにポテトもいかが」と言えば済む程度 (orそれに毛が生えた程度)のことしかできない場合もある。 ならば、高価なリコメンデーションツールなど必要ない。 定型文や画像のリンクをほんの数種類ばかり用意し、簡単な条件分岐でincludeすれば済む。
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やたらと個人情報を聞き出さなければならない
さて、ECサイトの売り上げに貢献するのが高価なリコメンデーションツールの導入ではないとすれば、 何をするべきなのだろう? 特別なことはなく、基本を大切にすべきというだけのことではないだろうか。 長くなったので次回に・・・。
See also:
ウェブパーソナライゼーションを酷評するレポート発表 (CNET Japan 2003/10)
ネットにおけるレコメンドは有効か(波多野blog 2005/4)

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