コンピュータが勝手に株を売買していいのか?

IBM、野村総研、早稲田大学などの協賛で 株式を市場で自動的に売買する自律プログラムのコンテストが開催される。 もちろん実験用の仮想市場、仮想証券会社を通してのことだが。

1ヶ月間、あなたのロボットがその設定に基づいて株の売買を行います。 さて、あなたのロボットはどれだけ利益をあげられるでしょうか?
カブロボ・コンテストより
面白そうなこの企画、しかし同時に寒気も感じたのは、筆者だけだろうか。

LTCM=ロングタームキャピタルマネジメント=という会社がかつて実在した。 ニューヨーク近郊の従業員170人ほどのその小さな投資運用会社は、 ノーベル経済学賞をとった経済学者、数学者、元凄腕トレーダーなどが考え出した 超高度な数学および理論経済学的テクニックを駆使し、巨額の利益を上げた。 1994年の設立以来ときには十数兆円クラスの資金を運用し、たった4年後、破綻した。 負債額13兆円。資金を託していた世界中の金融機関や投資家は震え上がり、 世界的な金融危機にすらなりうる事態だった。

当時の田中宇氏の記事によると、LTCMがやっていたのは次のようなことだ。

...とはいえ、1回ごとの利回り格差の拡大や縮小はわずかなもので、いわば水面に立つさざなみだ。 それを利益に変えるのは、さざなみを使って波力発電をするようなもの。 膨大な量をこなさないと、十分な利益が出ない。つまり、自動化が必要だ。
 そのため、LTCMは、複雑なコンピュータープログラムを組み、 無数の債券どうしの利回り格差の変化を自動的に判断できるようにした。

神々の崩壊:世界を揺るがすヘッジファンド危機(1998/10)
LTCMのやっていたことにくらべれば、このカブロボコンテストのやることなど まったくお遊びにすぎないのかもしれない。しかし本質は同じだ。

ロボットにやらせたところで、ロボットのとる行動はそのロボットの持ち主の責任だ。 人間のとる行動はその人間の責任だ。責任の所在が一緒なら、 ロボットが勝手にやろうと人間の指が売買ボタンを押そうとどっちでもいいじゃないか。 それもそうだ。 しかし、最後の最後に「人間」が「判断」を下すというプロセスがなされない株式取引が、 はたして人間による市場経済の場で行われるべき商取引と言えるのだろうか? 意見の分かれるところだろう。

自律判断するプログラム、その研究自体に問題は感じない。筆者だって技術者として大いに興味がある。 しかし、以前の記事でも書いたが、 技術的にできることと、実際やっていいこととは、次元が違う。 その部分の啓蒙がすっぽりと抜け落ちたままの技術研究には危険を感じずにはいられない。

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» [カブロボ]自動取引について考察 from NIES - 白線オール
先日(http://d.hatena.ne.jp/NIES/20041121)で、”実際に株の自動取引を行っているシステムって、存在するのでしょうか?”と書きましたが、本当にありました。 >> LTC ... 続きを読む

コメント

コンピューターによる投資の自動化により、市場がカタストロフを起こしやすくなる。
という趣旨の論文が1999年頃の日経サイエンスに掲載されていた記憶があります。

アメリカでは一般の投資家も、そういうソフトを使ってたりするみたいですが、日本では規制で禁止されています。

MMORPGでの「ボット」みたいなものですね。
人間のために自動で動いて稼ぐボット。

最近では中国などの低賃金の国の人間に外注する手口もあるらしいですが。

SF~スピーディなドラマの原作で著名な、マイケル・クライトンが、この手のテーマをいくつも世に出しています。
最近では「プレイ」。ナノテクノロジ・バイオテクノロジ・分散型自律協調コンピューティングテクノロジを複合させた、いわば新生命体を、仮想現実内だけでなく実際の地上に解き放ったあほたれ科学者がいて、、、という話。
ちょい古では、「ジュラシックパーク」・「ロストワールド」も同様。
さかのぼっては、「アンドロメダ病原体」など。
人の論理を超えたテクノロジの暴走に、警鐘を鳴らすのがテーマのようですね。
実は通りすがりなのですが、「Web屋のネタ帳」さんに、同様の指摘を見て取り、非常に意を同じくしております。
これからよく見に来ますので、よろしくお願いします。

この人、本気でこんなことを書いているのかな?
今時、ヘッジファンドの運用の8割方はこの手の自動売買と
聞いています。時代は変わっているのに!!

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