ようやく公式なNTPサーバが日本にも
パソコンや業務用サーバはもちろん、家庭用テレビやビデオデッキなどあらゆる家電製品にいたるまで、必ずといっていいほど時計が内蔵されている。
たいていの時計はクォーツ式、つまり、水晶の石に電圧をかけると一定の間隔で振動する性質を利用している。ところが、製品の種類やメーカーにもよるのだが、そうした内蔵時計のクォーツ部品は腕時計などに使われているそれと比べるとやや品質の低い部品が使われるケースが少なくない。パソコンの時計が1週間で2、3分も狂ってしまうことがあるのはそのせいである。
しかし少々時計がくるってもこまめに調整すればそれで問題は解決する。その最たる解決策が最近登場した電波時計というやつだ。また、そうした日本標準時の短波放送など無い時代であっても、NHK教育テレビの「ピッピッピッポーン」という時報の音声にあわせて自分の時計を自動的に補正する機能を持つテレビやビデオデッキはけっこう昔からあった。筆者がつい最近買った某社のハードディスクレコーダーもやはり教育テレビの時報に合わせる機能があることがマニュアルにはっきりと書かれている。(電波時計じゃないんだなぁ。へぇ。)
TVアンテナにつながっていることが前提のテレビやビデオデッキだからこそ可能な工夫だが、ではパソコンやサーバの内蔵時計はどうしたらよいのだろう?
という問題を解決するために考案されたのがNTP = Network Time Protocol = ネットワーク時刻同期サービスである。コンピュータは、アンテナにつながってなくともネットワークにつながっている。ならば、ネットワークの先にあるコンピュータ=NTPサーバ=の時計を参照して時刻を補正できるようにしようというプロトコル(通信手順)。それほど最近の発明ではないらしい。RFCを見ると、1992年とある。
NTPに関する詳しい説明はここでは省略するが、ポイントは、NTPはクライアントサーバ型であり、当然、正確な時刻に調整されている時計を持つコンピュータをNTPサーバとする必要があることだ。パソコンや業務用サーバなどはNTPクライアントとしてNTPサーバを参照することで、自分の時計の時刻を自動調整する。
しかし、恐ろしいことに、つい最近まで日本には「公式な」NTPサーバが存在しなかった。何をもって「公式なNTPサーバ」とするのかという問題はさておき、例えば国立天文台だとか、文部省だとか通産省だとかが、常に正確な時刻を維持する公式NTPサーバを持っていてしかるべきと考えるのが普通だろう。
とにかく、日本では公式なNTPサーバが存在しない状態がここ10年以上続いていた。その結果どうなったかというと、
福岡大のNTPサーバがアクセス集中で悲鳴 (ITMedia.co.jp 2005/1)そう、比較的早い時期から福岡大学のとある情報処理系の研究室で研究目的に運用されていたNTPサーバが「事実上の標準/公式」なNTPサーバと認知されてしまい、記事にあるような悲鳴をあげる結果となっていた。
とはいっても、本当に誰も手を打っていなかったかというとそうでもない。
通信総研とNTTら,日本標準時をNTPサーバで実験的に公開(ITMedia.co.jp 2001/1)日本の公式なNTPサーバとおぼしきものの実験運用が2001年ごろから始まっていた。 それから実に4年の歳月を経たこの3月、ようやく「実験運用」の冠がはずれ、正式サービスとなった。
マルチフィード、NTPによる時刻合わせサービスを正式に開始 (Internet Watch 2005/3)
それにしても日本標準時をNTP配信する公式なサービスがいままで無かったというのがこと自体がそもそもおかしかった。インターネット上のごく基本的なサービスの基幹となるサーバがようやくまともな形で提供されるようになったばかり。実はこれが日本のインターネットの現実でもあるのだ。
なお、ユーザー各自のパソコンやサーバー上のNTPクライアントソフトの参照先として、インターネットマルチフィード社のNTPサーバを指定すればよいかというとそれは早計である。日本中のマシンからのNTPアクセスが一箇所に集中してはさすがにサーバがもたない。
Windows XPならNTPクライアント機能が内蔵されている。コントロールパネルの日付と時刻の画面に、インターネット時刻というタブがある。デフォルトでは「time.windows.com」といったサーバー名が入っているはずだ。それがマイクロソフトが用意しているNTPサーバなのだが、当然ながら世界中のWindowsPCが参照しにいってしまっているため動作が不安定なことが多い。
たとえばなんらかのプロバイダを利用している個人ユーザーであれば、そのプロバイダが持っているNTPサーバを指定するべきだ。たとえばOCNならこんなふうに説明されているように、プロバイダ内でNTPサーバを何台か立ち上げ、プロバイダのユーザーはそのNTPサーバを参照してもらう。そのNTPサーバ自体は上位サーバ(例えばマルチフィード社)を参照する。 こうすることで、NTPの負荷を分散させることができる。
ところが、プロバイダによっては自社内でNTPサーバを用意していなかったりする。 YahooBBなどの大手でも用意していないようだ。プロバイダ事業者の意識もいまだ薄いのだ。

コメント
>> 何をもって「公式なNTPサーバ」とするのかという問題はさておき、例えば国立天文台だとか、文部省だとか通産省だとかが、常に正確な時刻を維持する公式NTPサーバを持っていてしかるべきと考えるのが普通だろう。
国立天文台は、NTPサーバを持っていて、かなり昔から
(90年代から)公開しています。
http://www.miz.nao.ac.jp/ntp.html
更に言えば、NICTは無料公開のしないstratum 1 で、
mfeed は、そのNICTをつかうstratum 2なので、
stratum 1を公開しているnao.ac.jp のほうがずっと
先進的?ではないかと。
Posted by anonymous at 2005年5月11日
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