ショッピングモールというビジネスモデルの寿命はそろそろ尽きる論について雑感
SEOだとかAjaxだとかWeb2.0だとか「何とかAPI」だとか、よくわからないんだけどなんかすごいことが起きそうだと一般ピープルに匂わせることができそうなキーワードが流行っている。でもそれって単なる流行のサイクル。服と同じ。サインカーブを描いてやってきては去ってゆく単なるブームに踊らされるとコトの本質を見失う。
2005年の秋に楽天がTBSを買収しようとしてすったもんだが起きたころ、「要するにショッピングモールというビジネスが寿命に近づいてることに気づいた三木谷社長が焦ったんじゃないか?」という話がまことしやかにささやかれた。詳しい記事はいくつかあるが、一番まとまっていそうな「[R30]: 楽天は本当にAppleに対抗しようと考えたのか?(2005/10)」という記事からいくつかの段落を紹介しながら話を続けたい。
かつてネット・ショッピングには、信用できる決済システムと店舗へのトラフィック確保にネックがあると言われていた。楽天はそこに注目し、決済インフラの確立、そして「ネット店舗なら何でも楽天にある」と言わしめるほどの店数を揃え、「ネットショッピングならまず楽天」と消費者に連想させ、お客のトラフィックを確保することに多大な努力をかけた結果、大いに成長した。残念ながら楽天市場が多大な努力をかけたのは信用できる決済システムではない。っていうか決済については楽天は目新しいことはほとんど何もやってない。楽天市場に限らずECサイトの決済手段のほとんどはいまだにクレジットカード決済と銀行振り込みと代金引換。それって20年以上前からある決済手段で新しくもなんともない。通信販売でモノを買おうとする買い物客が唯一感じることはクレジットカード番号を伝える相手がまともな企業であるかどうかであって、そういう不安の解消手段は「まともな通販会社ですよ」「まともな通販商売やってますよ」という雰囲気をかもしだすことでしかない。楽天市場はそれを地道にやっただけだ。技術的なことでも天才的なことでもない。
また、楽天市場が努力したのは「ネット店舗なら何でも楽天にある」と言わしめるほどの店数を揃えることでも顧客のトラフィックの確保でもない。
楽天市場が全精力を注いだのは自分の店舗の商品データを簡単に更新できる機能の開発と、そういうのを開発しましたから使ってくれと言って回る営業だ。
お客のトラフィックを確保できたのも「ネット店舗なら何でも楽天にある」と言わしめるほどの店数を揃えることができたのもその結果に過ぎない。 技術知識ゼロであっても自分の店舗の商品の画像や説明やメールの本文をコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツ書き上げてゆくことに全精力を集中できる環境を店舗に与えることができたからこそ、そのWebページは「自動販売機」ではなく「店舗」となり、顧客の出足は「トラフィック」となり、「商店街の活気と人気(ひとけ)」となったのである。ということで、
だが、ネットでの物品購買が当たり前になり、決済インフラの信用性もほとんどボトルネックにならなくなった。またトラフィックはGoogleを初めとする検索エンジンからが中心になり、SEOや検索連動広告を出せば単独でネット上で店を出しても十分トラフィックを確保できるようになった。そうすると、楽天に顧客リストを握られている既存店舗はともかく、新規に出店する業者が楽天の利用を検討する必然性はまったくない。ここが、オークションという「システム」そのもので顧客をロックインしてしまったヤフーと楽天の、大きく異なる点である。という話には、「フォームとかシーエスエスとかシージーアイとかレンタルサーバーとかエフティーピーとかテルネットとかセッションとかクーロンとかブログとかとかジャバスクリプトとかいうカタカナ単語を知らなくても自分の店舗の商品の画像や説明やメールの本文をいつでも自由に更新できる」という、超ど級に重要な基本機能の良し悪しがショッピングモールあるいはECサイト全般の成否を左右する、という観点がすっぽり抜け落ちている。
「トラフィックは検索エンジンから得られる」って、おいおい。検索エンジンにひっかかる側のモノつまり商品データはだれが書いてるんだ?検索エンジンか?違う。楽天市場か?違う。お店の人がコツコツ書いてるんだ。中には商品のメーカーのWebの内容をそのままコピペしてるだけの店もあるが(笑)、そういう店は大して儲かりもせず長続きもしない。繰り返すが、お店の中の人がコツコツ書いている商品データが全ての源泉なのであり、商品データの書きやすさ更新しやすさが第一の勝負の分かれ目なのである。
たしかに、店舗データの更新編集機能の充実したショッピングモールやレンタルサーバーやその類のソフトウェアは、最近すごく増えた。それこそMovableTypeのプラグインでショッピングカートプラグインなんてのも出てきてるくらいだ。
がしかし、楽天市場やYahooショッピングの出店者の多くにとっては、「MovableType」のようなアルファベットも「プラグイン」といった謎のカタカナも、どうにかして日本語にしていただかないことには「?」マークが頭上に浮かぶだけだ。「なんとかスタイル」や「なんとかモール」ですら理解できるか怪しいというのはあながち言いすぎではない。
レンタルサーバーだのドメインだのデータベースだのジャバスクリプトだのムーバブルタイプだのブログだのプラグインだのアールエスエスだの、そんな目新しいカタカナ知らなくても店の商品やサービスの良さをお客に伝えるという基本作業を手伝ってくれるモノを一発でくれ!あ、お値段安めでよろしく!というのが真の需要であり、それに答えているのがショッピングモールであり、逆にそれに一発で答えることも初期費用運用費用合わせて低価格で提供することもできていないのが個々の技術や製品群やそれを作る技術屋さんたちなのである。
通販で商売したいと言う店舗の人に向かってエイジャックスとかエーピーアイとかトラックバックとかソーシャルネットワークとかわけのわからない単語を連呼する時点で負けだし、ソフトは提供するけどサーバーは他のレンタル業者さん使ってね(あるいはその逆)みたいにサービスを区切ってしまっている時点でも負け。店舗の側の人ももっと技術について勉強すべきというのはそうなのだが人間は怠惰であるという現実は現実である。そもそも店舗の人の本分は商品とか顧客とか在庫とかいわゆる小売業用語で言うところのマーチャンダイジングであってコンピュータ技術ではない。
したがってインターネット上のECサイトあるいはショッピングモールをとりまくいまの状況が近い将来そう簡単にひっくり返るとは思えない。
いや、ナウでヤングなレンタルサーバーとか言ってなかなかいい味だしてるあそこならそのへんわかってる感じがする。(謎)
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