リンクにまつわるエトセトラ
「リンク」という古くて新しいキーワードがいま再び脚光を浴びている。 筆者の脳内だけだが。 そんなリンクにまつわるエトセトラ。
まず昨年秋ごろから話題の痛い人の件。
「はてな」のサービスをとりあえずターゲットにすえているらしく、例えば はてなアイデア - リンク先の管理者が禁止している行為をしたユーザーにアクセス停止期間を設けて欲しい。(当然却下) みたいな要望をガンガンあげており、はてなのCTO(最高技術責任者)たるnaoya氏が冷静にコメントいれてたりする。氏および「はてな」そのものの、冷静さというか心の広さというかこういう電○な人もそれなりに相手するのは本当にご苦労様であり敬服である。そういう筆者のperl言語の知識は実はperl4(古っ!)で止まってたりする。どうでもいい。
痛い人の件はさておき、例えばの話、「今日はパパとディズニーランドに行きました。楽しかったです!」と書いてミッキーマウスと一緒の写真が載っている小学生の女の子ブログのページに対してロリコン趣味変態野郎のサイトからリンクが張られたりトラックバック送られたりした日にゃ子供が悲しみパパ怒り心頭なのは至極当然であって、なんとかしてやらねばと考えるのは大人の義務である。 たいていの場合は「他にもっと面白いことあるよ」と子どもを誘導してあげるのが最善。
そういうことを考えつつ はてなアイデア tinycafe > 取引履歴 を眺めると、その痛々しさもさることながらこどごとく「却下」なのに一部は「要望中」のまま残されているあたりが、なるほど開拓者としてのはてなの心意気が垣間見えたりしないでもない。 robots.txtとかmetaタグとかに何か書いといたらソーシャルブックマーク機能がどうにかなる、みたいなことになるのかなあ。しかし痛い人は痛いままだろうきっと。
さて話は変わるが、Web(主にセキュリティ)の業界では非常に有名な高木氏による、「Webの中心で無断リンク禁止を叫んじゃう病ウィルスが個人はともかく企業や警察までもに感染増殖していてどうしたもんかね」という調査や活動。いろいろあるのだがとりあえず 野村総研がリンクする際には文書で申し出よというので文書で申し出た(2006/10) という体を張ったネタを提供してくださった件では、野村総研側がいつのまにか問題の文章を変更している。
変更の経緯の説明はどこにもないが、当然この件が関係しているだろう。 野村総研に限らずどの企業においても、 そもそもの原因が「何も考えてないだけ」なのだから。 それについては「会社のポリシーは会議室で決めてない、現場でコピペしてるんだ (2006/9)」という氏の記事が非常にわかりやすい。 そう。企業や団体組織にはびこる「無断リンク禁止」は本人の意思や理性とはほぼ無関係にコピーで勝手に増殖するウィルスだったのだ。(笑)
栃木県警察が「無断リンクは禁止とします」などと書いていた件についても結果的には文章が変更された。またそのきっかけとなったと思われる高木氏と栃木県警察のやりとりにおいては、高木氏が非常に良いことを言っている。
「無断リンクは禁止とします」について栃木県警に聞いた(2006/10) より、高木氏が警察の人に諭すように言った部分の抜粋:まったくもってそのとおり。
悪質な業者に「うちは警察へリンクさせてもらっている」などと利用されることが問題だとおっしゃるが、それはリンクを許諾制になんかしてるからそうなる。許可なくすることを禁止しているなどと掲示していれば、読者は、「リンクしているということは警察の許可をもらったのだろう」と思ってしまう。リンクしているからといってリンク先と関係があるわけではないことは、Web利用者全員に共通の常識としなければならない。
このことは近年情報技術犯罪として問題となっているphishingの被害を減らすためにも必要なことだ。県警が無断リンク禁止の考え方を広めれば、民間サイトへリンクした偽サイトが登場したときに、「許可を得ているはずだから信用できるサイトだ」と誤解する読者を増やすことに加担してしまう。信用の悪用を防ぐには、「他のサイトが当サイトへリンクしている場合があるが、それは当サイトと関係があることを意味するものではない」旨の注意書きをすればよいのだし、県警ハイテク犯罪対策室は、phishing防止のために、一般論としてその注意喚起をする立場にあるはずだ。
ところで、三重県警察では「リンクにつきましては、原則、官公庁のみといたします。その対象ページは、最初のページとしてください。」 とかなんとか言っているが、ここはあえて官公庁でもなんでもない筆者のこのページから、三重県警察の最初のページでもなんでもない行方不明になってから10年目を迎えようとしている高校生について情報提供を求めるページに無断リンクしておく。高校生の無事をお祈り申し上げます。なお、「リンクを貼ったら下記へ連絡しろ」といって電話番号も書いてあるのだが、筆者はヘタレなので高木氏のように「最高裁判所が電話してというので電話した」みたいなことはとてもとても無理ですごめんなさい。
追記: 「有害サイト等から学校と児童生徒を守る」ことよりも「周りがどうなっているか」の方が大事な仙台市教育委員会 も参考になる。
さて、さらに話は飛ぶ。
2006年12月27日つまりほんの1週間前、年の瀬のくそ忙しい時期を狙ってか狙わずかはどうでもいいが、公正取引委員会からある資料が発表された。
公取委、オンラインショッピングモールにおける出店事業者/運営事業者間の取引の実態に関する調査結果を発表 (ASCII24 2006/12)猶予期間をほとんど与えずに店舗に課金する手数料率を楽天市場側が一方的に引き上げたり、店舗の顧客のメールアドレス等のいわゆる顧客リストは楽天市場を出て使ってはならない、などなどの点が独占禁止法に抵触する、という、まあ予想通りの内容である。
想定の範囲内(死語)のことはさておき、調査報告書の原文を見てみる。 電子商店街つまりYahooショッピングや楽天市場などにおいてどのような運営措置がとられるているのかという事実認定と、それらがどのようによろしくないことかという法律的な評価、という流れで構成されている。 たとえば「売り上げに対して課金する手数料率が一方的に変更されることがある」という事実認定に対して「これは独占禁止法に照らして『優越的地位の乱用』にあたる」という評価がなされている。
あまり注目を浴びていないのだが、実は、「外部リンクの禁止」が規定されているという事実認定も同様に記載されている
調査報告書のP27より抜粋:ところが、これは単なる事実認定であって「だからどうだ」という話はない。つまり、外部リンク禁止の規定が法律的に見てどう評価されるのかという内容は報告書のどこにもないのである。
(2) 外部リンクの可否
電子商店街上のサイトからの外部のサイトへのハイパーリンクの可否については,大多数の運営事業者が全面的に認めているか,又は一部制限(アダルトサイト等へのリンク禁止)を課した上でリンクを認めている(図表39参照)。上位3社の対応についてみると,楽天は外部ウェブサイトへのリンクを禁止しており,ヤフーは自社サイト店舗等へのリンクを禁止している。また,DeNAは,同社運営サイトでの購入を阻害するような表現を用いた外部リンクの表記を禁止している。
なお、この「外部リンク禁止」は、上のほうで書いた「無断リンク禁止」とは似ているようでまったく違う話なのでご注意。
公正取引委員会の中の人が何を思っていたのかは知らない。 外部リンク禁止をめぐって楽天に裁判沙汰を起こした某せっけん屋に少しは報いてあげたかったのだろうか。 まあいずれにせよ、ショッピングモールサイトにおける外部リンク禁止までお役人に云々されなくてよかったよかった、と個人的にはそう思う。Webページの編集にまつわる規定やその権限は店舗はもちろんだがショッピングモール側にも認められてしかるべきだ。店舗のためにも、ショッピングモールそのもののためにも。そのあたりの話についてはショッピングモールが外部リンクを嫌う理由 (2005/8) に詳しく書いた。
さらにあえて冷たいことを言うと、自社独自サイトにリンクさせろとか言う店舗も店舗なのである。始めから自社サイトだけでやれと。その点についてはサラ金の利用者とショッピングモールの出店者の共通項 (2006/1) を参照されたい。
さて長くなってきたが話はまだ続く。
Yahoo!のヘルプのページに、こんなのがある。
ASP、shtml、PHPなど、自動的に生成されるURLは登録されますか? Yahoo! ヘルプ - サイト管理者向け以前はこんなこと書いてなかったのだが、どうも2006年の春ごろから掲載されているらしい。 この文章、意味が通るようでいて実は意味不明に思えてならない。 正直言って、Webサイト構築の発注側、受注側、Webデザイナー、エンジニアそれぞれに渡って不毛な議論や行き違いひいては予算の無駄遣いの発生源のひとつとなっているのではないだろうか。
検索エンジン用ロボットがページを探すときにたどるのは、主に静的リンクです。ASP、shtml、PHPなど自動的に生成されるURLは登録されない可能性があります。データベースに登録されるためには、動的に生成されたリンクを利用しないことをおすすめします。
Googleには次のような解説がある。
ウェブマスター向けヘルプ センター Google のウェブマスター向けのガイドラインはどのようなものですか。Yahooの解説と比べるとGoogleのほうがまだ親切なようだ。なんとか意味が通っていて、Webサイトをつくる側がなすべきことに正確に導いている。少々おぼろげではあるが。
(途中省略)
動的なページ (URL に "?" が含まれているページなど) を使用する場合、検索エンジンのスパイダーによっては、静的なページと同じようにはクロールされない場合があることを考慮する。 パラメータを短くしたり、数を少なくすると、クローラで見つけやすくなります。
「動的なページ」 「自動的に生成されるURL」 「動的に生成されたURL」 「動的に生成されたリンク」 すべて違うようでいて同じ意味でありまた同じようでいて違う意味な気がする。さらにASPやPHPやshtmlがどうのというくだりも、言語や技術の話と、そしてそれらが実用される際に一般に使用される記述拡張子の話とが、すべてごっちゃまぜになってしまっている感じである。もうわけがわからない。 まあとりあえず以下を参照いただきたい。2年も前に書いた記事ではあるが本質は変わってない。
以上、リンクにまつわるエトセトラ。 いやあ、リンクって本当にいいもんですね。(c)水野晴郎
