たとえ個人の趣味のブログであっても独自ドメイン上でやるべき8つの理由

結論。

  1. 個人であれ企業であれ、そのブログのURLを変えないことは重要である。ブログのトップページのURLはもちろんのこと、できればその一つ一つの記事のURLも。
  2. それでもURLが変わってしまう可能性/変えざるを得なくなる可能性 は大いにある
  3. 万が一の事態が発生したときの最低限のよりどころとして独自ドメインを取得し そこで自分のブログサイトをつくるべきである
という話。 なお、なんで「Webサイト」じゃなくて「ブログ」なのかと聞かれても困る。もうこの期に及んでそこに特に違いはないからだ。 だから以下の話では、「ブログ」の単語を「Webサイト」に、「ブログサービス」の単語を「プロバイダが提供するホームページスペース」に脳内変換してもらってもいい。

ではさっそくはじめよう。

1. ブログサービスを渡り歩いている間に読者が減ってしまうかもしれない

なんとなく使いづらい/なんとなく気分で、「引っ越しました」と書き残してブログを次々に移転する人がいる。ということはブログのURLが全部変わる。 単に移り気or飽きっぽいだけならそれもそれでいいと思う。 だが、読者を増やしたいとか考えるのであればそれはまずいということは説明せずともわかるだろう。 客の2割が利益の8割を生み出すと言われるように、 ページビューの8割は2割の固定読者がもたらす。 せっかく「お気に入りに入れる」をしてもらった大切な読者である。 一定の独自ドメイン上でブログをつくることで、万が一ブログサービスを引っ越してもURLは極力変わらないようにするべきだろう。

2. ブログサービスを引っ越せば方々から得られたリンクを全て無に返してしまうかもしれない

「あそこのブログサービスはSEO的にどうだ」とかなんだとか言ってる人をたまに見かける。 「これは面白い」と思ってくれた読者からのリンク、 あるいは「俺はこう思う」というこちらからのトラックバックこそがSEOの重要な要素なのに、 そういう人に限ってなぜかそういう過去の資産を全て無に返すような「ブログ引越し」を繰り返していたりするから不思議である。

3. 重い!

有名なブログサービスのひとつであるココログのシステムが、過負荷でやたら重かった時期があった。立ち上がり期のブログサービスによくあることだ。 何ヶ月か単位で待っても改善されないため堪忍袋の緒が切れて引っ越してしまったユーザーもいたし、それまで書いた記事まで含めた移転作業はもちろんURLが変わることをも嫌がってじっと我慢していたユーザーもいた。 これも、はじめから独自ドメイン上でブログを構築しておけば、少なくともトップページのURLは変えずにブログサービスを引っ越すことができたはずだ。

4. コメントスパム!コメントスパム!コメントスパム!

コメントスパム対策が未熟なブログサービス上でブログを書いているユーザーが、「どうにかしてよ」的なことを言ってるケースも多々見かける。CAPTCHA機能(コメント書くときに変な絵の上の文字を入力させるやつ)を提供しているブログなどではコメントスパムは皆無に近いので、そこに引っ越そうかなー、でもそれまでの記事を捨てるのは嫌だし、URL変わってそれまでのリンク全部パーになるのもやだな。。。と思ったりするわけだが、 これも、はじめから独自ドメイン上でブログを構築しておけば、ブログのURL極力そのままにしつつ裏のブログサービスだけスパム対策の充実したところに引っ越すことで解決できる。

5. 思ったより人気がでてしまったのが原因で、思わぬ費用が発生!?

さっきから何度も言うようだが、「引っ越しました」とかいってブログサービスを渡り歩いているブログ(を書いてる人)を見かける。 もともと移り気なタイプ(笑)で、ブログの内容もそう大したことはないし書いてる本人も過去記事にこだわりがあるわけではない、ということなら別にいいだろう。だが、あなたはそうだろうか? くやしいやら残念やらで書く気力を失ってしまったひとがここにいる。

maclalalaweblog: 突然ですが・・・ (2007/6)より抜粋:

ブログを続けられなくなりそうだ。
当ブログが利用している TypePad から、つぎのような通知があった。

   *      *      *
「お客様の先月分ご利用の転送量につきまして、残念ながらご利用のアカウントで規定されております転送量を超えてご利用頂いている事が判明いたしました。・・・
規定の転送量を超えてご利用頂いた場合、転送量に見合ったプランへ移行をお願いしております。

(途中省略)
したがって、「転送量に見合ったプラン」に移行しなければならないということらしい。 この「転送量」に見合ったプランとは、個人向けではなく(Pro 以上の個人向けはない)、企業向けの「プロモーションプラン」で、一番低額のものが「3か月4万円、年間12万円」(税別)だという。

・・・仰天して、ことばを失ってしまった。

(途中省略)
気力が萎えた
筆者のようなシロウトでも、これまでなんとか投稿を続けられたのは TypePad という優れたサービスがあったからだ。 それに、アクセス累計が100万を超えるまで支えてくださったありがたい読者には、どれだけ感謝しても感謝しきれない。 iPhone の発売まで10日を切ってしまったいま、アップルファンにとってたのしい話題がネットに溢れている。 早起きして海外ニュースをチェックするクセは今でも続いているが、それをブログで紹介する意欲はどこかへ飛んでしまった。
ブログを更新する気力が萎えてしまっている。
どうしていいのか分からず、なにも手につかない。
。。。なんかこう、もともとなんかあって疲れているところに超バッドタイミングで超予想外の通知をもらったので、という感じがするが、とにかく、こういうことはありうる。

たしかに「容量」と「転送量」の区別は素人にはつきづらいだろう。そもそも転送量制限のあるブログサービス自体が今では少数派である。 こうしたケースにおいても、はじめから独自ドメイン上でブログを構築しておけば。。。(以下省略)

6. あなたが使っているブログサービスは、来期で終了するかもしれない。

栄枯盛衰の超激しいこの業界である。サービス打ち切り!はまったくめずらしくない。 あの有名企業でも、こんな感じでやらかしたことがある。

サイバーエージェント、ブログサービス「melma!blog」を11月末で終了 (Internet Watch 2005/10)
もちろんこれは撤退というよりは、今やってる「アメーバブログ」への衣替えのための布石でもあったわけだが、いずれにせよユーザーのブログのURLは強制的にすべて失われたのは事実である

そもそも、いま現在のブログサービス市場は供給過多である。 大小さまざまなIT系企業が2000年前後のITバブルよ再び!といわんばかりにこぞってブログサービスに参入したが、結局ブログサービスそれ自体では大した儲からずにダラダラ続けているだけというのが実態だったりするので、いつ何が起こってもまったくおかしくはない。 そのあたりはblog(ブログ)でビジネスになるか?(1)(2003/12)でも書いた。

7. もっと予想外の人気になってしまったら、そのぶんリスクも増大する

メジャーなところでは鬼嫁日記ネコ裁判(いずれもアメーバブログ使用)など。 マイナーなところではうちの食卓 Non solo italiano (エキサイトブログ使用)など。 幸運にも「版権」とか「印税」とかいう甘いニオイ(笑)がしてくるレベルにまで達した場合には、いかにそれを持続させるかが勝負である。しかしここで、もしも「アメーバブログ閉鎖!」とか「エキサイト撤退!」とかなったら?! 寒い、寒いよ。。。 こういうケースにおいても、はじめから独自ドメイン上でブログを構築しておけば、エキサイトブログやアメーバブログを離れつつもドメイン名は自分のもののまま≒URLは変わらないので。。。(以下省略)

もちろんこんな人気ブログは千に三つである。 だが、鬼嫁日記の人もイタリアの食卓の人もこんなことになることを見越してブログを書きはじめたのだろうか?答えは絶対NOのはずだ。
※ちなみに「うちの食卓」の方は書籍化された→Amazon.co.jp: 北イタリアの食卓 うちの食卓 Non solo italiano

8. あなたが使っているブログサービスは、あなたの望まざる方法であなたのブログに手を加えるかもしれない

ブログを書いたら、その記事の著作権は書いたユーザーのもの?それともブログサービスのもの?といった著作権の観点での議論はこれまでにもあった。 しかし、そんな面倒な概念を考えずとも、ブログを金に変える方法を考えるのが営利企業のなりわいというものである。

ドリコムブログは、比較的速い時期から提供されていたブログサービスのひとつだ。そこで、今年はじめにちょっとした騒動があった。 それまで、それぞれのブログの記事のヨコのサイドバーと呼ばれるようなあたりにドリコムによる広告が自動掲載されるようになっていたのを、ユーザーの書いたひとつひとつのブログ記事のすぐ真下に広告を入れるようにした(しかも画像つきが多い)。

広告表示位置の変更につきまして-ドリコムブログからのお知らせ
↑この広報のコメント欄のひとつがその目的を的確に示しているので抜粋すると
要するに、以前の広告位置では目立たず
目立った利益に繋がらないので
否が応でも目に付く「ユーザーの記事内」に
(広告を)表示する事で利益をあげよう!と。
ということである。 利用料金なり広告なりで稼がなければならないのはそれは企業なので当然のことである。 がしかし、ほんの2行書いただけのようなちょっとした内容の記事にもデカデカと広告が表示されるようになったことにユーザーが不快感を示して反発。 なにしろ自分が書いたもの(orお勧めしているもの)と見間違えられても仕方の無いような見え方で、出会い系サイトの広告が画像つきで勝手に書かれたりするのだ。 突然そんなことをされたら、そのストレスの大きさは、コメントスパムやトラックバックスパムの比ではないだろう。

上で紹介したこの広報記事のコメント欄には「もう引っ越してやる!ふーんだ!」的なことが多々書かれているのだが、そういう人に限って、引越し先のブログサービスでまた同じ目にあわない保証などないのでは?ということを見落としていたりする。

こういうケースにおいても、必要なのは「引越し」そのものではなく、自分が所有権を持つ独自ドメイン上でブログを構築する前提においての引越しなのであって、ドリコムブログを離れつつもドメイン名は自分のもののまま≒URLを変えずに。。。(以下省略)

さて、なんで独自ドメインでやるべきなのか?の話はこれくらいにして、独自ドメインとブログの関係についていくつか書こう。

Appendix A. ドメインの取得元とサーバーのレンタル元(≒ブログサービス提供元)はまったく別会社のほうがいい

例えばロリポップ(とムームードメイン)のように、 ブログ構築サービスと、ドメイン名の販売とをセットで提供しているケースは多い。 が、誤解されやすいのだが、そうでなければならない技術的な理由は特に無い。 例えば筆者のこのネタ帳ブログは、サーバーこそさくらインターネットのレンタルサーバだが、ドメインは米国のNetworkSolutions(これも大手業者。今はベリサイン社の傘下)で買って、今もその管理下にある。

ワンストップショッピングというか、道具は同じところでそろえたほうが楽ではあるが、リスク分散の観点からすると、ドメインの取得元とサーバーのレンタル元(≒ブログサービス提供元)はまったく別会社のほうがいいだろう。自分のブログを預けている事業者と、自分のドメインを登録している事業者とが同一であるということは、そいつが倒れると自分のドメイン名とそのブログのデータの両方がいっぺんに危機に陥る。

また、ブログの記事ならそのデータのバックアップを取っておく手段はなにかしらあるものだが、ドメイン名はバックアップの手段が実質ない。万が一自分のドメインの登録業者が倒産でもしたりすると、かなり面倒なことになる。その意味では、ドメイン名の登録は経営が安定していそうな大手業者で、ブログサービスは予算に合わせた格安のレンタルサーバー業者で、という取り合わせがいいだろう。

Appendix B. ドメイン名は、深い意味をもたせず、あたりさわりなく、何にでも使えそうで、つづりがわかりやすいものを。

ドメイン名はタダではない。がしかし、個人には手が出ないような値段のものではまったくない。年間数百円から数千円程度だ。もちろんコロコロ変えられないし変えてはいけない。そんなことしたらいまここに書いてる解説の意味が無い(笑)。だとすると、ドメイン名は、深い意味をもたせず、あたりさわりなく、つづりがわかりやすく、あとからでも何にでも使いまわしができそうなものがいいだろう。 月並みなたとえで申し訳ないが、「yahoo」とか「rakuten」とか「mixi」とか。

ちなみに、百式という有名サイトのなかの人は、そのドメイン名の由来について次のように語っている。

よく聞かれることだが『百式』のドメイン名の由来は金色のモビルスーツではない。かといって実は今の『百式』の形態であるドットコム企業の紹介用に取得したドメインでもない。実はこのドメインは今の『百式』を始めるよりずっと前に別の企画のために取得したものなのだ。

以前初めて会社で部下を持ったときに(自分のことは棚にあげて)「なんと学生気分の抜けない奴らだ」なんて思った時があった。その時に「ビジネスパーソンとしての心得をサイトにまとめてみよう。どうせならきりよく百の心得なんて形にまとめよう。そうだ、百個だから百式なんていいだろう」と思い取得したのが『百式』ドメインであったのだ。

結局そのサイトは二、三ページ作ってあまりに説教っぽいので辟易してやめてしまったが、ドメインはそのまま残っていて、今の『百式』を立ち上げるときになんとなく使った、なんてのが本当の由来である。
全体像を把握 (Oh no! It isn't.com) | 100SHIKI.COM(2001/12)より
ということで、これを踏まえて言いたいのは、サイトの中身というか企画は変わるものなので、あとからでもなんとなく使えるようなドメイン名がいい、ということだ。

Appendix C. あくまでも自分がドメインの所有権を持たなければならない

これは当たり前のことなのだが、最近ではこんな新種のサービスもあるので、説明しておかねばなるまい。

最近OCNがOCN マイアドレスプラスというサービスを開始した。「マイアドレスプラスとは、月額315円(税込)で世界でひとつあなただけのJPドメインが利用できる」サービスです。とうたっている。ちなみに国内のドメイン登録大手のひとつであるお名前.comでの.jpドメインの料金は年間8337円なので、オトクな感じである。がしかし、ムームードメインと比べると.jpは年間3510円なのでまったくオトク感はない。(笑)

いやそんなことより、OCNマイアドレスプラスで問題になりやすそうなのは「ドメインの所有者は申込者ではなく、あくまでOCN(NTTコミュニケーションズ社)にある」という点である。

Q5.このサービスで使っているJPドメインの指定事業者を変更できますか?
A5.ドメインの持主はNTTコミュニケーションズになり、ドメインの持ち出し(指定事業者の変更)はできません。

Q7.OCNを解約してからも同じJPドメインを使えますか?
A7.OCNを解約した場合には引き続き同じJPドメインをご利用いただくことはできません。
マイアドレスプラス - よくあるご質問 - より
汎用JPドメインの登録者(持ち主)はNTTコミュニケーションズになり、お客さまには貸し出す形態となります。
OCN|マイアドレスプラス - ご注意事項 -より
筆者だったら絶対こんなの使わない。自分の名前の生殺与奪の権利を他人に売り渡すようなものだ。

マイアドレスプラスと同時にドメインマッピング機能の拡販も行われているらしいのがミソである。 何しろ天下のOCN(NTT)のやることだからとうっかり安心して申し込んでしまい、せっせとコンテンツ(ブログ記事)を書き、半年か1年後になってからそのドメイン名は実は自分の所有物ではないという事実を理解して愕然とすることになる素人さんが多数発生することだろう。

最後に

さて。長々と書いてしまった。

わかっている人はもうわかっていると思うが、実際のところ独自ドメインであろうとなかろうと「ブログの引越し」はそう簡単ではない。ドメイン名のマッピングの変更だけならすごい簡単なことだけど、過去記事データの抜き取りと引越し先への再注入は、フォーマットや作業方式がよほど定型化されてないと素人には難しいはずだ。残念ながらそのあたりの標準化はほとんどなされていないのが今のブログ業界の現状である。一部にはMovableTypeが提供するバックアップファイルの形式を受け入れるブログサービスもあるにはあるけど。

今回ここでは、そういった細かい観点はあえて省き、上にいくつか挙げたような切実な問題に突如遭遇してしまったときの最終防波堤こそが独自ドメインであることを言いたかった。

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コメント

非常にわかりやすくまとまった記事で読み応えがありました。
私はまだ転送量の恐怖を経験したことがないのですが、今後気をつけたいと思います。

ドメインと検索結果の関係について、拙ブログでエントリしたので、コメントさせて頂きました。

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