そういや合コンサイト「ゴクー」ってのもあったな(男の子牧場の件)

サイバーエージェントが「男の子牧場」なる、ストレートだか変化球だかよくわからんネーミングで出会い系(?)サイトをおっぱじめていきなり炎上の図。 プレスリリースを受けた新聞社などはツッコミもせず右から左で記事にしているあたりがなんだかねえ。

酒飲んで酔って脱ぐのは内輪では(質のよしあしはともかく)珍しくもない一発芸のうちなのに、 立場的に名の知れた人間が無防備な場でやらかしちゃって逮捕で家宅捜索で記者会見になってしまったつい最近の出来事などこそ、本件と無関係なようでいて実は根っこは同じじゃなかろうか。

つまり、こじゃれた夜カフェでの「お互いの知り合いの男の子を紹介しあおうよ!」的なガールズトークはそれはそれで楽しいだろうし悪くもなんとも無いしむしろぜひ紹介されたいくらいだ(笑)が、それを上場企業の名の下になんの工夫もなしにそのまんまネット上に実装して大公開しちゃったことが敗因。結果論かもしれないけどさ。

とりあえず、女性専用サイトらしいので俺が登録するのもアレなので後輩の女の子に試験用の端末で会員登録してもらった(※)のだが、男性(つまりネカマ)の会員登録を阻止する有効な防波堤がまったくないようだ。「ちんちん牧場」に「やる夫」という馬が放たれているのを見かけたが、あくまで女性vipperの仕業であると願いたいものだ。
(※ ○野さんご協力ありがとう。今度一杯おごる)

次に、mixiやらのサイトに転がってる携帯で自己撮影したイケメンその他適当な男の顔写真を使った種馬を牧場に放つ輩は多かれ少なかれ必ず現れるだろう。「あなたの種馬紹介してよ。あとであたしの手持ちの馬も紹介するからさ(架空だけどな)」 そんな状況下ではうかつに手持ちの馬を紹介することもできず、必然的に既存のお友達/知人に対してのみの紹介になる。それってmixiとかの経由でもできるじゃんというオチ。「専用」サイトとしての差別化がどこまでできるか(&それがユーザーに認められるか)にもよってくるのだが、今のインターフェイスは明らかにmixiのパクリでしかなく、どうすんだろねえ。

livedoor ニュース - 【トレビアン】『男の子牧場』は出会いの温床だった? 亜流サービスまで登場!(2009/5)

<具体例>

女A=メール送り主、女B=メール受け取り主

女Aは『男の子牧場』に登録しているほかの女性ユーザー(女B)に「よかったらメールのやりとりしませんか?」とメールを出す。
 ↓
メールを受け取った側(女B)は相手(女A)が女性だと思い快諾。
 ↓
女Aは「私の友達の男性を紹介します」と写真付きで紹介する。
 ↓
実はこれは罠でメールの送り主(女A)と紹介する男性は同一人物(自作自演)。
 ↓
これを利用して女Bと女A(実際は男)は出会うことが出来てしまう。

「その手があったか!」とかいう話はともかく、上記のような懸念と悪評の伝播スピード、そして何よりもネーミングの失敗。以上を加味した負の相乗効果はすさまじいだろう。結論は見えた。「終了」である。

そもそもサイバーエージェントは「少し考えればわかりそうなのにどうしてそんなやりかたを?」的にやらかすケースが少なくない気がする。人材の入れ替わりが比較的激しそうな若手中心の企業でありがちな浅はかさ。

違法か適法か?そんな問題じゃなかろう。やってて(Web屋として)恥ずかしいか恥ずかしくないか?だ。この点について彼らの思考能力はアイオイクス社と黒にんにくネットのそれと大差ないのかもしれない。 ネガティブインパクトを食らうのは自分だけでなく業界全体であるという点も理解してほしい。 とにかく、刹那的なサイトを乱発して逆効果を生むくらいなら、 出会い系やりたきゃ昔やってたゴクーを粘り強く続けるべきだったんじゃないかねえ。

そうそう、ゴクー(gocoo)である。サイバーエージェントは2004年に合コン相手を探すサイトを立ち上げている。こっちのほうがまだお上品で、少しは見込みがあったかもしれないと思うんだがなんでやめちゃったのさ。ゴクーは1年もったが、男の子牧場は半年もつだろうか。

思い出してゴクーの跡地を今見てみたのだが、ネット廃墟探訪としては面白みに欠けてしまった。 去年あたりまではこんなことになっていて、そこそこ笑えたのに。

また、サイバーエージェントは、もっと先人を全力で見習ってはいかがだろう。表面的なパクリっていう意味じゃなくてさ。 この手のWebサイトにおいては、緻密かつ地道かつ長期間におよぶ忍耐力こそが、信用を醸成する上で欠かせないということをもっと学ぶべきだ。

女性専用をうたうコミュニティ系サイトというジャンルで言えば、たとえばベネッセウィメンズパークはもう7,8年以上続いてる老舗だが、メールアドレスだけでなく住所氏名電話番号まで入力させて、会員番号とパスワードは郵送で届き、さらに怪しい場合はサンプル的に電話をかける(≒会話と声で女性かどうか判断)という徹底ぶり。

また、2002年の春ごろのある日突然、Yahooのトップページ上部に、「旅行」「辞書」みたいなのと並んで「パーソナルズ」という文字で小さなリンクが出現した。それがYahoo!パーソナルズ=のちのYahoo!パートナー=が稼動を開始した瞬間である。派手なプレスリリースなどなかった。InternetWatchなどネット系のニュースサイトがサービス開始後に取材してようやく記事になった程度である。システム運用担当者の心臓をいたわる意味でも、長期にわたる信用醸成というマーケティング的な意味でも、そーーーっとスタートさせつつ慎重にコトを運ぶのが肝要なのだ。

繰り返すが、出会い系に類するサイトをやるには、相当な慎重さと長く続ける辛抱強さが必要となる。 根が短気な新興上場企業だとこの「長く続ける辛抱強さ」の部分で必ず「で、コストパフォーマンス(≒収益)は?」の壁にぶちあたってくじける。たぶんゴクーがそうであったように。

逆に言うと、Web全体が研究者のおもちゃから一般ピープル向けのツールに変遷してきたので、企業的なやり方よりも個人的なやり方のほうがむしろ成功パターンとなりつつある。ほとんどのWebサービスはスタートアップ段階はもちろん相当数の規模に成長しても、基本、一人で作れる。江島健太郎氏もこの前そんなこと言ってたね。 だからこそ、出会い系に限らずこの手のWebサービスはまずは一人で開発し、細々と運営を続けることをあえておすすめする。mixiもグリーもユーザーが数万人規模になってもフツーに一人の開発者の手で開発/メンテされていたのだから大丈夫。君にもできる。

オチに無理やり感があるがまあとにかくそんなことを思った。

追記:
1年どころか半年どころか、2週間ももたずに終了。うーん、それもなんだかなあ。 めげずにいろいろ練り直して再チャレンジしていただきたい。

「男の子牧場」のサービス停止について|サイバーエージェントではたらく広報担当のブログ

株式会社サイバーエージェントは、 2009年5月13日に開始した婚活支援モバイルサイト「男の子牧場」を、 サービス見直しのため、2009年5月19日をもってサービス停止いたします。
サービス停止日:2009年5月19日
※新規会員登録は2009年5月18日中に停止させていただきます。
なお、ご提供頂きました登録情報、及び男性プロフィール情報につきましては、当社で責任をもって廃棄させて頂きます。

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