ブログ「Web屋のネタ帳」が月間100億PVを突破しました

サイバーエージェント社のブログサービス「アメーバブログ」が月間100億PV(ページビュー)を達成したそうですが、 この「ネタ帳」も負けてはいません。お互いがんばりましょう。

てな感じで、以下、言ったもの勝ちのチキンレースで周りが踏めないアクセルをいきなり全開にして玉砕に向かうサイバーエージェントを生暖かく見守る識者の図。

ポイントをいくつかまとめる。

  1. アメブロの各ユーザーに提供されるアクセス解析機能で「アクセス数」あるいは「総アクセス数(PV)」という文字で明確に表示される数字には、RSSフィードに対するアクセスが含まれていたり、User-Agentが明らかにWindowsでもMacでもないモノ=検索エンジンのロボットやRSSリーダー=によるアクセスが含まれている。普通ならこれはページビュー数として含めない。
  2. しかし実際のところ、何をもって「普通なら」と言うべきなのか? つまり、PV数には標準的な定義が無い、という恐ろしい現実がある。それはミスリードとチキンレースの温床ともなっている。
  3. しかるに、アメブロに乗り換えただけでアクセスUP!という気の毒な巷のユーザーの声やそれに乗じたようなサイバー社の各種の広報活動で発表するPV数、その他の傍証を見るに、本来なら含めるべきでない数字まで本気でPV数に含めてしまっているようだ。で、「月間100億PV達成だ」と。なんなのよそれ。 見て見て!今日はGooglebotが10回も見に来てくれたんだよ!rss.xmlには50回もだよ!と喜ぶようなWeb屋はサイバーエージェントぐらいである。
  4. 傍証のひとつとして、ちょっと古いが2005年のとある記事を紹介しよう。

    はてな、3月の月間PVが2億8,500万突破 japan.internet.com(2005/4)

    株式会社はてなは2005年4月6日、同社が運営する各サービスの2005年3月の総PVが2億8,500万を突破、総ユーザー数21万8,000人を達成した。

    前回の発表と比べると、PVは4,500万増えて前月比19%増、ユーザー数は1万3,000人増えて前月比6%増となった。

    この他、2005年3月のロボット訪問率は13%、ロボットを除いたPVは2億4,900万だった。
    このように、まっとうな知恵と羞恥心をもつWeb屋はロボットによるアクセスについてはじめから計算外にするかあるいは何らかの但し書きをつけるものだ。
  5. それにしても、2005年段階のhatena.ne.jpでロボット率13%と。この前後数年での、商用/学術研究用それぞれの検索エンジンの乱立とその性能アップ、アドセンスのようなコンテンツマッチ型広告の出力のためのコンテンツ解析クローラー、SEO対策のためのサイト側での何らかの措置、RSS/XMLでのデータフィードの普及とそれを活用した各種Webサービスの開発競争、違法なエロページなどを監視するための各サイト内パトロール要員またはそのツールによるアクセス、その他もろもろ考えると、2009年現在では大手サイトでも非人間/非通常ブラウザによるPVは全体の半分を超えてしまうのではないだろうか。人気の無いサイトであってもロボットはやってくるので、ブログのように更新頻度がそこそこ高くなる種類のサイト(RSSファイル更新されまくり、update ping打ちまくり)ほど、PV数に含まれるロボット率は高まってしまいやすいだろう。例えばアメブロとかアメブロとかアメブロとか。
  6. と思っていたら、こんな記事が発見。

    4~5割のロボットを無視するAnalyticsの解析方式 (現場でプロが培ったGoogle Analyticsの使い方 第2回 1ページ目 ascii.jp 2009/6)

    「ロボット」とは、人間の操作ではなく、自動でWebサーバーにアクセスするプログラムのことです。検索エンジンの「クローラー」とも呼ばれるロボットは、Webページのリンクをたどって、新しいページがないか、更新されたページがないかを探し、Webページの内容を取得していきます。また、RSSリーダーが、定期的にRSSフィードの更新を確認しにくるために実行するプログラムもロボットです。

    ロボットによるアクセスは、日によって変動があり、もっとも多い4月5日の場合、総ページビューの約49%、もっとも少ない4月20日の場合、35%がロボットです。1年を通じてみると、ロボットによるアクセスの方が人間よりも多い日も数日あり、「人間以外によるアクセス」というWebのもう1つの側面が見えてきます。

    4~5割のロボットを無視するAnalyticsの解析方式 (現場でプロが培ったGoogle Analyticsの使い方 第2回 3ページ目 ascii.jp 2009/6)

    Google Analyticsは、「Webは人間が使うもの」という概念にもとづいて開発されたアクセス解析ツールです。ページを見たり、物を買ったり、資料を請求したりといった人間の行動を把握したい場合は、ページビューに限らず、Google Analyticsのようにロボットを計測対象にしないアクセス解析ツールの指標を使うべきです。
    うん、まっとう。そういうことだよな。
  7. 一言で言うと、「広告営業のつもりでページビューが50億だの100億だの言うんならそのロボット率の数字もセットで示してプレゼンしろよトーシロがっ!(※死語)出直して来い!」 と、CAの営業がアメブロとか言い出したらはっきりこう言ってあげましょう。
  8. もうひとつ傍証をあげると、例えばYahooがIR情報として出している2009年6月の1ヶ月のPV数は464億ページビュー。これってYahooトップと検索結果ページはもちろんYahooニュースとかヤフオクとかYahooブログとかその他もろもろYahooホニャララの一切がっさいを含めてのこの数字。つまり、Yahoo全体をもってしてもアメブロ4個半しかないと。 んなわきゃない、どちらかの数字が何らかの形でおかしいと考えるのがまっとうな業界人だろう。
  9. 逆に、挙げるべきでない(ような気がする)傍証が、Google Ad Plannerによる数値。 例えばこれ。2009年7月のameblo.jpは月間13億PVくらいしかないことになっている。この数字の誤差がどれほどなのか、正直わからない。前にも書いたとおりGoogle Ad Plannerが出す数値が微妙であるケースはけっこうある。 とはいってもこの規模のサイトの自己申告100億PVでGoogle神による他己申告13億PVじゃ、やっぱり誤差にしちゃ大きすぎるよという気持ちはわかる。
  10. なお、「広告なんだからインプレッション数で図るべきであってPV数とからめるべきではない」といったような意見もあるようだが、まるで話が違う。Web広告営業の現場では「ページビュー数、つまりアクセス数はですね...」というプレゼンと「インプレッション数がですね...」というプレゼンとでは、前者のほうが、スポンサー側担当者の老若男女を問わず「ピンとくる」可能性がかなり高いという現実がある。したがって営業マンもIR担当もPV数を前面に押し出すしかない。サイバーもYahooもその他もろもろも実際そうしているわけだし。プレスリリースにまんまとのって提灯記事にした日経産業新聞とかあるわけだし。つまり、この問題の本質は、実際に現場でステークホルダーの行動に影響を与えてしまっている数字の出し方が怪しいというところにある。PV数とインプレッション数は異なるので云々という広告理論の話は別のところでやるべき。

さて、そう遠くない将来、サイバーエージェントによる恥ずかしげもない幼稚な行動に始まったデジタル押し紙によるバブルがはじけるとき、ネガティブインパクトを食らうのはCA一社ではなくWeb業界全体に広がってしまいかねない。

そこで、Yahooほどの圧倒的なモノがないサイトは、いまのうちになんらかの形で保険をかけておくべきじゃなかろうか。 さっき、Google Ad Plannerの信頼性がいまいちという話をしたが、信頼性を上げる方法があるのだ。

Google Analytics データ公開可能に::SEM R (2009/5)

なお、Googleは5月5日にGoogle Ad Plannerの公開データをGoogle Analyticsの実測データに置き換え可能にしたことを発表している。Google Ad Plannerはメディアプランニングツールで、指定したサイトのページビュー(PV)やユニークユーザ(UU)、年代、性別、学歴、年収などのデモグラフィック情報を参照できる。これらはGoogleによる独自予測データだが、Analyticsのデータに置き換えることでステークホルダーに対し適切な情報を提供できるようになる。

とあるサイトで実際やってみた結果が下記。 このネタ帳のサイトの数値ではない。neta.ywcafe.netみたいにサブドメインを切っているのでうまく設定できなかったので、以下の画像は筆者の知り合いのサイトのものである。したがってAdPlannerで公開とはいえ数値について筆者の口からはなにも言えないのでツッコまないように。

設定前↓


設定後↓

こんな感じで、少なくともPV数(とUU数?)については自サイトのAnalyticsで計測されたデータを公開させるようにできる。

AdPlannerは正直まだ改善の余地があると思う。情報の信頼性はもちろん使い勝手の面でも。 だが、Analyticsからのデータの反映に時間がかかることもあるかもしれないし、 今後の機能強化/改善も見越して、早めに行動に移しておいて損はないんじゃなかろうか。

たとえば、ややマイナーサイトだが、琉球新報はAnalyticsのデータを自分のサイトで公開している。が、更新されてなくて古い。 そこで、Adplanner上で「正直、こんだけのPV数なんですよ、ほら、Analyticsのデータで出てるでしょ」といつでも言えるようにしておけば、信頼性がより高い情報(しかも常に最新)を交渉の出発点にできるという点で、大局的に見ていい仕事につながる気がする。ウチのサイトでそんなこと出来ないよというあなた!?残念、もうすでに水増しチキンレースにご参加でしたかそうでしたか。

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コメント

こんばんは。
琉球新報のなかのひとです。言及ありがとうございました。

AdPlannerを通じてAnalyticsのデータを公開する方法というのがあったのですね。知りませんでした。
もともと両方の数字に大きな違いはなかったんですけど、Analyticsに置き換える設定をしてみましたよ。

いい仕事につながりますように…

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