特に楽天での商品売買において、
アフィリエイト経由での売り上げに対する承認率がかなり低くなってきている
(≒キャンセル率が高くなっていきている)という話が、
アフィリエイト広告を掲載しているサイトの運営者の間で話題になっているらしい。
いろんなサイトやらblogやらBBSやらで話はでているのだが、
ひとまず以下を参照。
楽天アフィリエイトをとりまく妙な噂
この話題については事情通の人には今さら感があるようだが、
恥ずかしながら筆者は最近知った。
ひとまず、「アフィリエイト経由の売り上げに対する承認率」
というのはどういうことか、説明しておこう。
アフィリエイト用のリンクをクリックすることで、
トラフィックゲート社などのアフィリエイト運営業者のシステム
(あるいは楽天アフィリエイトのようにECサイトの自前のシステムかもしれないが)
に足跡を残しつつ、ECサイトなどの商品ページに誘導され、
「買い物カゴに入れる」ボタン→決済画面・・・
というふうに見事購入に至ったとしよう。
しかしそれだけで自動的にアフィリエイトが成立しはしない。
もしかしたらその直後に「間違えた!」とか言って注文がキャンセルされるかもしれない。
あるいは店舗側のミスでうっかり在庫が無い商品を売ってしまったかもしれない。
実店舗では無い商品は売れるはずもないのでなかなかあり得ないが、
通販の世界ではたまにあることだ。
そのため、通常は、Webサイト上の「購入確定」の画面に至っただけでは
アフィリエイトは成立させない。
品物を発送し、宅配の荷物追跡などで顧客に届いたところを見とどけた時点、
あるいはクレジットカード会社などから代金が回収できた時点で、
店舗側が「このアフィリエイト取引を承認する」旨をアフィリエイト運営業者の
システムに入力する。それではじめてアフィリエイトが成立し、
アフィリエイトリンクを載せていたWebサイトの運営者に何がしかの報酬が支払われる 。
通常の通販であればキャンセル率はせいぜい1〜3%くらいだ。
しかし、それ以上の確率で、店舗側が「アフィリエイトを承認しない(=キャンセル)」と
システムに入力するケースが明らかに多いのだ。
それがこうした不満や疑惑を呼んでしまっている。
憶測が憶測を呼ぶ的なことはできればしたくはないのだが、
Web関連の技術屋として思い当たるふしはあるにはある。
そこで一応、予測される理由をひとつ書いてみよう。
というのは、楽天が複数のアフィリエイトシステムを使っているがゆえの
当然の結果かもしれない、ということだ。
断っておくが、以下についてはまだ筆者の仮説にすぎないということを
念頭において読んでいただきたい。
ある1人のユーザーが、あるひとつの商品について調べているとしよう。
商品の種類にもよるが、検索エンジンにヒットするのはやはり楽天の商品である場合が多い。
ヒットした順に上から10サイトもたどれば、
そのうちのいくつかは必ずアフィリエイターによる商品紹介サイトだろう。
それらをたどっているうちに、
複数のアフィリエイト用リンクをクリックしてしまうだろう。
あるサイトはトラフィックゲートのアフィリエイターかもしれない。
あるサイトはバリューコマース、またあるサイトは楽天アフィリエイトかもしれない。
最終的にそのユーザーが楽天での購買に至ったとしよう。
しかし、そのユーザーは複数のアフィリエイトリンクをクリックした記録を持っている。
トラフィックゲート、バリューコマース、楽天アフィリエイト。
3社(=3アフィリエイター)にそれぞれ報酬を支払うのか?否!
そんなことをしたら粗利益が吹っ飛んでしまいかねない。商売にならない。
したがって、
(おそらく)最後にクリックされたアフィリエイトリンクの持ち主に対してのみ報酬を支払い、
そのほかのアフィリエイトは非承認(=キャンセル)にせざるを得ない。
これが、注文した客がが「やっぱりいらない」と言ったわけでもないのに
アフィリエイターにはキャンセルとして報告されてしまう理由だろう。
楽天の商品に限っての話だが、トラフィックゲートやa8.netなどの
(楽天から見て)サードパーティのアフィリエイト業者と、
楽天独自のアフィリエイトシステムである楽天アフィリエイトを比べると、
楽天アフィリエイトのほうが承認率が高い(=キャンセル率が低い)という話もあるようだ。
これを「楽天が、自社サービス=楽天アフィリエイト=のアフィリエイターだけを
不当に優遇しているのではないか?」と見る向きがあるようだが、
これにも、ある理由が考えられる。
楽天の商品に対してアフィリエイトリンクを張っているアフィリエイターは、
はたしてどのアフィリエイトシステムを使っている人が一番多いだろうか?
確証は無いが、おそらく、楽天アフィリエイトのユーザーが一番多いだろう。
ある1人のユーザーが、4つの楽天アフィリエイトのリンクをクリックし、
1つのトラフィックゲートのアフィリエイトリンクをクリックしたとする。
最後にクリックされたのが楽天アフィリエイトのリンクだったとすると、
トラフィックゲートのアフィリエイトはキャンセルされるだろう。
では残り3つの楽天アフィリエイトもキャンセルされるのだろうか?
否!キャンセルの必要がないのだ。なぜなら、
最後にクリックされた楽天アフィリエイトの記録によって
それより前のクリック記録が上書きされるだろうからだ。
同じアフィリエイトシステムを使っているのなら、
そのCookieの発行の仕方やデータベースの更新方式に
そういう融通を利かせることは、技術的にそう難しくはない。
ということは、3つの不運な楽天アフィリエイターのもとには、
キャンセルの記録すら残りようがない。
つまり、アフィリエイトシステムのシェアは楽天アフィリエイトが大きいだろうという仮説と、
Cookieを上書きできるのはそれを発行したのと同じWebサーバだけというCookie一般に言える標準仕様は、
楽天アフィリエイトのキャンセル率は相対的に下がる(下がって見える)という結果をもたらす。
いかがだろうか。念のため改めて断っておくが、以上の文章はまだ筆者の仮説にすぎない。
アフィリエイトの承認システムを実際に見た上でのことではない。
しかし真相がどうであれ、こうした疑惑や疑念が持ち上がってしまう以上、
楽天に限らず全てのアフィリエイト業者は、
そのシステムにおいてなんらかの対策をとらなければならないだろう。
もしかしたら、アフィリエイトの非承認という行為を「キャンセル」という
言葉でひとくくりにしてしまっているのがまずいのかもしれない。
だとすれば、「本当に顧客の都合によるキャンセル、返品」と、
「複数の競合アフィリエイターが存在するので一人を残してキャンセル」という
二つの入力選択肢を用意すれば、手っ取り早くなんとかなるのだろうか。
以上はあくまで筆者の仮説だ。
そんな単純な話じゃないとなれば、難しい。
完全に解消するには、あらゆるアフィリエイトサービス業者が互いにリアルタイムに
情報を交換する必要があるかもしれない。それは現実的とは言えない。
しかも問題はアフィリエイトというマーケティング的な過程だけに限らない。
商品情報の掲載から注文、到着、代金回収までの全ての過程に関わってくるかもしれないのだ。
さらに、Webのほぼ全ての前提となるHTTPとCookieの標準仕様は、
策定されてから既に10年を経ており、
当初の想定がまったく及ばない使われ方をしている。そろそろ限界だ。
XML-RPC、SOAPなど、より完全で代替できそうな技術仕様はいくつかあるが、
それを実際に使えるソフトやハードが普及するには、まだ時間がかかる。