買う人は買うし買わない人は買わないただそれだけの事実に行き着くまでの遠回り

音楽CDの売り上げとWinnyの普及度とに相関性はみられないとのこと。

また、学生500人にアンケート調査を行い、1年に買うCD枚数を調査したところ、Winnyを使用前と使用後でも購入枚数に差がなかった。田中助教授は、「オリジナルがほしい人はコピーの有無にかかわらず購入し、コピーを利用する人はコピーを禁止されても購入するわけではない。 両者の需要が違うため、影響はないのではないか」と分析した。

 さらに、歴史的にみて、ビデオが出たときに映画産業から反発がでたり、 レコードが出たときに音楽家がボイコットをしたと述べ、現在は著作権保護に重きが置かれ、 適切な水準になっていないとした。そして、今後携帯電話がiPodのような音楽ダウンロード、 視聴端末になるためにも著作権保護の適切な水準が必要であるとまとめた。
(mainichi interactive 2005/3)

だいたい、CCCD(コピーコントロールCD)規格だとかWinnyは問題だとかなんだとかうだうだ考えたところで、 「(音楽CDを)買うやつは買うし買わないやつは買わない」ただそれだけのことなのだ。 この程度の直感は誰でも働くし、それは正しい。 ちなみに同様のことはWebサイトについても言える。

がしかし、いざオジさんたちが会議室に集まって違法コピーがうんたらという 議論をはじめると、そうしたちょっと考えればわかるような一般感覚がまるで失われ、 「やっぱりCCCDでしょ!」といったような結論に陥ってしまう。 CCCDは数年前からいろんなCDで採用されていたが、 CCCDの採用と音楽CD売り上げになんら相関が見られなかったため、 いまでは結局ほとんどのレコード会社で使われなくなってしまった。

違法コピーがよろしくないことは議論の余地無く確かで、 問題なのは、音楽という無形情報の流通構造の現状にガタがきているだけのことだ。 ちなみに筆者はWinny使ってない(興味ない)のでなんともである。 だいたいCD聴きたければTSUTAYAに数百円はらえばすむことだし。

(最近、忙しくていろいろ書けず。ネタというかメモは手元にたまってゆく一方なんですが。)

IBM、PHPの支持を表明 − Javaジャバ言ってる間にも(5)

IBMがPHP言語を正式に指示すると表明した。

IBM、PHPの支持を表明--「Zend Core」バンドルを共同開発へ(CNET Japan 2005/2)
米IBMがオープンソース団体に30以上のソフトウェアを寄付、PHP支援サイト開設 (MYCOM PC WEB 2005/2)
IBM、オープンソース活動に一層の拍車(Japan.internet.com 2005/2)
今後IBMは自社製品=WebSphereアプリケーションサーバ製品群やその開発環境において、 PHP言語によるシステム構築にも対応できるようにしてゆく。

ちょっと面白いのがCNET Japanの記事。

ある業界幹部は、匿名希望を条件に、IBMがPHPおよびスクリプト言語を支持したことについて、 Javaの標準化プロセスや業界がJavaを非常に使いやすくできないことに対して 同社が幻滅していることを反映したものと述べている。
 「IBMはJavaに辟易しており、代わりになるものを何年も前から探していた。 彼らは自社のバックエンドを利用するアプリケーションを開発者がすばやく構築できるようにしたいと考えているが、 Javaではそうなっていない」(同幹部)
匿名希望ということでどこまで信憑性があるかはわからないが、あたっているだろう。 実際のところJ2EEも結局複雑すぎてよくわからないねという反省から Javaの時期バージョンでは EoD = Ease of Development = 開発を簡単に、 というコンセプトが前面に出されることになっていた。
「J2EEの世界に、もっとEase Of Developmentを」 (Internet Watch 2004/5)
J2SE 5.0 in a Nutshell(java.sun.com 2004/5)

ただし、Javaに対してPHPのほうが使いやすいかもしれないという理由だけでIBMが支持を表明したのかというのはそれも早計だ。 フォーカスする技術は単数よりも複数のほうがリスク分散の面で望ましいという意図もあるだろう。

いずれにせよ、ことWebシステムの構築ということであればPHPは非常に有力な選択肢であるということにかわりはない。

See also:
Javaジャバ言ってる間にも (2003/12)
Javaジャバ言ってる間にも(2) (2004/3)
いまおすすめの言語はPHP −Javaジャバ言ってる間にも(3)(2004/5)
Javaジャバ言ってる間にも(4) − FriendSterはJavaからPHPに乗り換えていた(2004/9)

フラッシュメモリ1Mバイト=1円からわいてくる期待

2009年ごろにはフラッシュメモリカードの価格は1Mバイト1円になると フラッシュメモリ大手メーカーの社長がそう予想しているらしい。 CPUの性能向上に関する予想で有名なムーアの法則のように技術的な予想ではなく価格というマーケティング的な予想なので 的中するかどうかはわからないが、あながち的外れではないだろう。

この予想は、iPodの中身がハードディスクじゃなくフラッシュメモリに入れ替わるという話だけでは終わらない、 大きな可能性を秘めている。

現在、大量の情報の保存先として利用されているハードディスクをフラッシュメモリに置き換えるだけで、 さまざまなアプリケーションの飛躍的な性能向上が見込めるのだ。 特に筆者が注目したいのはデータベース分野である。

話を進める前に先に、ハードディスクの基本構造とその欠点について説明しておこう。

どんなパソコンにもサーバーにもハードディスクというものが内臓されている。 ちょっと分厚い文庫本か新書くらいの大きさで、中には音楽用のシングルCDくらいのキラキラ光る円盤が数枚と、 その円盤上のデータを読み書きするためのヘッド(昔のレコードプレーヤーのウデと針を想像していただきたい)が内蔵されている。

円盤は毎分数千回というかなりのスピードで回転し、 ヘッドはその円盤の上に触れるか触れないかくらいの微細な距離で浮遊するような形でデータの読み書きを行っている。 ヘッドと円盤の距離はタバコの煙の一粒より小さい!

この基本構造からすぐに察しがつくハードディスクの欠点は二つ。

  • 壊れやすい。あたりまえだ。 そんな物理的に精密な動きをする高速回転物体の寿命が長いわけがない。 24時間稼動するサーバー内部のハードディスクであるか、 2,3日に一度しか起動しない家庭用パソコンであるかにもよるが、 運がよければ3,4年は持つかもしれないが、半年や一年も持たないこともままある。 「ハードディスクご臨終で・・・」「ディスク故障により・・・」という話や広報発表が珍しくなくて当然である。
  • 遅い。画面の動きはのろいのに、 ハードディスクはカリカリと忙しそうな音をたてているという場面では、 CPUや画像描画処理部分は余裕なのにハードディスクの読み書き処理速度がそれについていっていないことを示す。 CPUなどの半導体の内部での情報が光の速度で移動できるのに比べれば、 ディスクの回転速度やヘッドの移動速度は遅くて当然だ。

ハードディスクでなければ収容しきれないほどの大量の情報を取り扱うタイプのアプリケーション=たとえばデータベース=であれば、 そのボトルネックは必ずといっていいほどディスクI/O(Input/Output, データの読み書き処理)だ。 (それに気づかずにやたらCPUを増やそうとしたりサーバーごと買い換えようとするケースはままあるけど) たとえばMySQLの公式マニュアルには、ディスクI/Oの速度がボトルネックになることが明確に記されている。

... 一般にディスクの回転速度は最高でも 1 秒間に 167 回転(10000rpmの規格の物の場合)であるため、 ディスクがオペレーティングシステムを欺かない限り、 コミットの回数も同じく 1 秒間に 167 回に制限される。
MySQLリファレンスマニュアルより
もちろんMySQLに限らず、ディスクI/Oがデータベースの性能に大きな影響を与えることは データベースソフトウェア一般に言える。

ここで、メモリの低価格化時代の到来である。 「パソコンに128メガの増設メモリ買ったら3万もかかっちゃったよ」という会話をしていたころから 実はまだ5年もたっていないのに、あと数年で1メガ1円の時代が来るというのだ。 (パソコン用のDRAMとフラッシュメモリはちょっと違うよという話はまぁおいといて)

データベースのボトルネックがディスクI/Oであるならば、 そのストレージをハードディスクではなく半導体ディスクに変えるだけで大幅な処理スピードアップが見込まれる。 日々「重い検索処理をどうするか」という課題に向かって四苦八苦している大勢の開発者たちの苦労が バカバカしく思えてくるほどに。 RAM部品の低価格化により半導体ディスクの値段(現状では数GBでも数百万をくだらない)が下落すれば、 このアイデアはものすごく現実味を帯びてくる。

別にフラッシュメモリでなくてもいいのだが、とにかくメモリをハードディスク代わりに使うという アイデアは昔からなかったわけではない。 半導体ディスク、あるいはシリコンディスクと呼ばれる製品はけっこう前から存在するし、 そんな専用ハードウェアでなくてもたとえば「RAMディスク」のように パソコン上のメモリをディスク代わりにする機能はPCの世界でもMS-DOS時代からある。

実例で言うと、はてなではMySQLデータベースの 格納ストレージとしてPCサーバのメモリ上に展開しているようだ。 はてなの中の人が雑誌に書いている。筆者も買って読んでみたが、なるほど興味深い。 Linux上でtmpfsをつかっているのか。

RAM部品の低価格化はこうした動きをますます加速させてくれるだろう。