ワンボックスのタクシー
先週のある雨の夜。かなり体の調子の悪かった筆者は駅から雨の中自転車で帰る気になれず、タクシーに乗ろうと乗り場に向かうと、かなりでかいワンボックスがいた。しかし屋根にはちゃんと個人タクシーの提灯が。スライド式のドアがスーッとちゃんと自動で開いた。
「ワンボックスのタクシーなんてめずらしいっすねえ?」 「トヨタのアルファードです。大きいでしょ。」 ってあたりからドライバーさんがアツく語り始める。まず最初に、タクシーとして認可を取るのに相当てこずったそうだ。役所(運輸局?)の人いわく「駅で待つのにそんなデカイ車の必要がどこにある?」の一言で門前払いを食いまくりだったらしい。はぁ?マイクロバスを乗り回すわけじゃあるまいに、いまどきワンボックスがタクシーで何が悪いんだ? まぁ役人なんてそんなものだ。「わたし役人に言ってやったんです。駅待ちなんてアテにしていない。ニーズはあるんだ!」
そう、ドライバーさんにはそれなりの考えや戦略があってのアルファードだった。 聞けば、今日は近所の某企業の社長の奥さんの病院送迎とデパートへのお買い物で貸切状態だったそうだ。なるほど、乗り心地はバツグンだし、荷物も大量に載る。ちょっとしたセレブのご用達というわけだ。駅で筆者と遭遇したのは、そのセレブをお送りした帰りにたまたま雨が降ってきて、もうひと仕事やってもいい時間帯だったので駅で客待ちしてしてみただけのことで、普段は駅待ちはやらないそうだ。「雨の日以外で駅で待ってたって儲からないでしょ。」 確かに。
相撲取りを空港から両国まで運ぶときや、双子の赤ちゃん&旅行の荷物を連れた女性からご指名がかかったりするそうだ。チャイルドシートはその都度レンタルして取り付けてから迎えに行く。チャイルドシート2連装&スーツケース&乗客というのは他のタクシーにはマネできない。ホンジャマカの石塚などそういうデブ系タレントからもよくお呼びがかかるらしい。(笑) あと多いのはもちろんゴルフ。中高年の女性グループ3人組をゴルフバックごと運ぶという大技は普通のタクシーにはできない。乗客は対面シートで楽しくおしゃべりしながらゴルフ場へ。
一日貸切で東京見物コースをよろしく、なんてのも多く、そのためにドライバーさんはさんざん観光案内の勉強をしたそうだ。確かに4人か5人乗ってワリカンにすればそれほどの額でもない。はとバスよりもよほど快適で融通が利くだろう。
車内には100Vの電源が4つほど準備されている。これも有効らしい。 某携帯電話メーカーの技術者が、試作品と電波測定器とパソコンを持ち込んで、都内をウロウロして試作品の電波感度をテストをするときにご指名がかかるそうだ。なるほどこれも普通のタクシーじゃマネできない。100V電源を複数個装備したタクシーが他にどこにある?
道を知らずマナーも悪いタクシードライバーに辟易することが多いなか、 立派な差別化戦略だ。
菊地タクシー


