Webサイトに見る大企業病の一例

JR東日本の旅行予約サイト「えきねっと」から、こんなメールが届いた。

Subject: えきねっと「旅やチケットのご予約」一部サービス終了のお知らせ【えきねっと】

(途中省略)
■終了するサービス
 ・国際航空券サービス
 ・国内ツアー商品のうち、JALツアーズ商品
 ・海外ツアー商品のうち、ジャルパック商品

(web上でのおしらせはここ)
そんなものまで売ってたのか。 JR東日本のWebサイトでJALツアーの商品が売れる理由、というより「売れるかもしれないと考えるにいたった理由」がわからない。

JR東日本の「びゅうプラザ」の窓口で売る、という話ならまだわかるが、 パソコンを見ているユーザーがもしもJALツアーに興味が向けば、 えきねっとのサイトを離れてJALツアーのWebサイトを見るだけの話のはずなのだが。

勢いで提携先や商品を拡大し、結局売れなくて、そのシステム投資費用がすべて無駄になる、の典型。

えきねっとと言えばこんな話もある。

JRのネット予約でトラブル続出 他社で切符受け取れず (asahi.com 2006.7)
「窓口で切符が受け取れないと言われた。どうすればいいのか」。さいたま市のJR東日本「えきねっとサポートセンター」には、こんな電話がしばしばかかる。東海道・山陽新幹線の利用者からが多い。
 東京都世田谷区の団体職員の女性(28)は、出張帰りに予約した「名古屋→東京」の新幹線の切符が名古屋駅で受け取れず、買い直した。女性は「席は取れていたはずなのに、なぜ」。 (理由は、えきねっとはJR東日本であり、名古屋駅はその管轄外だから)
まずこういう致命傷をどうにかしろと。

「もし自分なら買うか?ということも考えずに何でも勢いで売ってみろという上司の鶴の一声にしたがってしまう病」と、 「顧客に最もダメージを与える致命傷は社内では触れてはいけない病」、 いずれも大企業のWebサイトによく見られる症状である。

JPNICに会費を払えばページランクがちょっとあがる、かもしれない

JPNIC=社団法人日本ネットワークインフォメーションセンターとは、日本国内のIPアドレスの割り当てやらなにやらをやっている、要するに日本のインターネット関係の裏方作業とりまとめ団体である。大学や通信関連企業の識者が集まっていろいろと議論したりルールや決め事をしてくれている。

JPNICの活動は会員とその会費によって支えられており、会員に名を連ねているのは当然ながら通信/コンピュータ関連企業が多い。しかし別にコンピュータ会社じゃなきゃダメってことはないはずで、ネット上でなんらかのWebサイト等のサービスを展開している企業なら誰でも会員になれるはずだ。誰かの推薦が必要ということでもないし。

さて、その会員のリストが以下のURL。

さてここで注目すべきなのは会員リストの中身ではない。そのページランクだ。 2006年10月現在で、上の3つのURLのページランクはすべて5である。

そう。JPNICに年会費50万円を払ってDランクの会員になれば、大手を振って、ページランク5を持つ3つのURLから自サイトへのリンクを得ることができる。 しかも相手は公的機関だ。サイトが消滅といった心配も無い。

ちなみに、もっともハイグレードなS会員様の企業様にはJPNICのトップページ(ページランク7!ちなみにYahooは8)にロゴ掲載&リンクという追加特典がご用意されている。 ただしその年会費は1000万円。 しかし、Sランク1000万円は無理でもDランク50万なら?とちょっと考える中小企業のWebサイト担当者はいるはずだ。 そう、あなたです。あなた。(笑)

でも、残念でした。世の中にうまい話というものはない。 海外でまったく同じことを考え、つかの間の夢と散ったケースがすでにある。

W3C = World Wide Web Consortiumは、いわば世界のインターネットの総元締めみたいな機関である。JPNICの親分といったところか。 そのトップページのページランクはなんと10。会員リストのページでも9!という恐るべきサイトである。

で、当然ながら先述のようなたくらみを抱いてまんまと会員リストに載った企業がいる。 カジノ(賭博)関係サイトとか。よーーく見ると、日本の.jpドメインの企業もひとついる。 「SEOノウハウは国内屈指」が自慢の会社さんだそうだ。

しかし、たくらみはあっさりと打ち砕かれた。 会員リストのページのソースをよく見ると、

meta name="ROBOTS" content="INDEX, NOFOLLOW"
が追加されている。これはつまり、「検索エンジンよ。このページが検索にひっかかるようにインデックスに入れてくれてかまわないが、リンク先をフォローする必要は無いよ」というおまじないである。 詳しくは「nofollow」で検索

JPNICがw3cと同様にページランク取得の標的にされたら、やはり同様の結果になるだろう。 会費収入に目がくらんでJPNICがあえて目をつむるとかしない限りは。

まあ、SEO/SEMはつまらない裏技ばかり考えてないでまじめにやりましょうということで。

see also:
CNET Japan Blog - 渡辺隆広のサーチエンジン情報館:「PageRank購入」の標的となったW3Cとその結末

イトーヨーカドーの店舗ブログはTypepad、と思ったら独自構築に変更

イトーヨーカドーと言えばいわずと知れたスーパーマーケットチェーン。大手流通業。 いつごろからかは知らないがおそらく今年に入る前後あたりから、 いくつかの店舗においてブログ形式サイトを試験していた。

注:上記のURLはすべて近いうちに消えると思われる

ドメイン見ておわかりのとおり、MovableTypeで有名なシックスアパート社のTypePadサービスを利用している。

ところが、10月はいったあたりからwww.e-itoyokado.jpというドメインに改めて仕切りなおしているらしい。でもブログ形式っぽいからきっとMTとかTypepadとかそのカスタマイズとかを使ってるんだろうなー、、、と思っていたらどうやら独自構築らしい。 開発元(というよりコンサル元?)は ここ。 どうでもいいが、TITLEタグの中身が富士フィルムなんとかになってて、 コピペで使いまわしてるのがバレバレすぎますよー。(笑)

イトーヨーカドー&セブンイレブンその他からなるアイワイグループと言えば、 2000年頃にセブンドリームドットコムをはじめたものの大コケして、最近になってyahooと提携してセブンアンドワイにするなどのテコいれをしてようやく少しマシになりました、という大きなトラウマがある。

その教訓を生かしてかどうかは知らないが、イトーヨーカドーについては地味だが着実そうな戦略を取ることにしたようだ。それにしてもe-itoyokado.jpという、なんでも「e」つければ株価が上がるネットバブル期をほうふつとさせるドメイン名がなんともといったところだがまあ今後ウォッチしていきたい。

Googleニュースで見る耐震偽装、イーホームズ社長、アパホテル、安倍首相などなど

大した興味の無い分野ではあるのだが、 耐震偽装マンション&ホテルの件を最初に世に大きく公表したイーホームズの社長さんが、 なぜか耐震偽装とは別問題の件で起訴されて有罪判決となった件。

10月18日午後現在で Googleニュースで「イーホームズ」で検索すると、マスコミ各社の報道がざっと見れる。↓

それらをざっと眺めていると、東京新聞の『アパ3物件も偽装』藤田元社長暴露という記事が「おっ!?」と思わせてくれるのだが、はたと思って やはりGoogleニュースで「アパ」で検索すると、この件を報道しているのが東京新聞だけであることがわかる↓

あれあれ?朝日とか日経とか読売とかその他もろもろ有名どころはどこにいっちゃったの?と。 なお、記者会見でしゃべられたことだから、東京新聞だけが抜いたということはありえない。

まあ、マスコミは、広告を出してくれるスポンサー様の悪口になることは書かないものであるというごく日常的な風景ではあるのだが、そういえばと思って「安倍 アパ」でふつうにGoogle検索するとまた興味深いことが見えたりもする。

一般的な話として、情報が「無い」とか「非常に少ない」とか「他ではやってない」といったようなを証明することはものすごく難しいことなのだが、Googleニュースでこういう風に比較するといろいろ見えてくるね、というお話でした。

see also: アパホテル、不二家、三菱ふそう、雪印。歴史は繰り返す。 (2007/1)

リンクはTOPに貼ってください。これからリンクを貼ろうとしている方へ。強制義務とします。

リンクはTOPに貼ってください。これからリンクを貼ろうとしている方へ。強制義務とします。
痛い。

そんだけ。

see also:
直リンク禁止とその実現方法(1) (2004.7)
直リンク禁止とその実現方法(2) (2004.7)

全文検索、Ludia、PostgreSQL、senna、某巨大掲示板

NTTデータが全文検索エンジン「Ludia」をオープンソースとして無償公開(ITpro 2006/10)の件で。 とりあえず

  1. 技術的な話
  2. 周辺情報的(?)な話
の順で、適当に箇条書きすることにする。

技術的な話

  • 一般論として、通常のRDBMS=リレーショナル型データベース内のデータの高速な全文検索というものは需要が大きいわりに意外に難しくて、いろんな解決策が期待されまた模索されていると。
  • 上のITPro記事を見て「えっ?PotgreSQLの追加機能としての全文検索エンジンを独自開発したの??」と思ってそのLudiaなるソフトのソースをダウンロードしてよく見たら、sennaという既存の全文検索エンジンが同梱されてましたと。
  • なあんだ、だったら「sennaのPostgreSQLバインディングです」とわかりやすくそう書いてくれよITProの記者さん、と。
  • 「なあんだ」って言うのも失礼というもので、senna自身はデータのインデックス作成とそのサーチ機能にのみ特化してつくられていて、データ自体を保存するストレージエンジン(ex. RDBMSとかファイルサーバとか)やそれとの連携機能についてはそれぞれお好みのものを使ってね、というスタンスであり、今回はNTTデータの中の人がその設計思想と世の期待に答えてPostgreSQLというRDBMSとの連携部分を作ってくれたのだと。
  • こういう設計思想や発展の仕方というものは珍しいものではなく特にオープンソースソフトウェアの世界ではよくあることで、むしろ理想的とも言える展開であると。
以上、技術的な話。

次、

周辺情報的(?)な話

  • ところで、「Senna 組み込み型全文検索エンジン」のページをよく見ると、下のほうに「連絡先」として「有限会社未来検索ブラジル」とあると。
  • その会社についてググると、代表取締役として深水英一郎 氏、取締役として西村 博之 氏のお名前が出てくると。
  • 深水氏はメールマガジンサービス「まぐまぐ」の初期メンバーとして有名な方。西村氏はいわずと知れた某巨大掲示板を個人で運営している人として有名な方であると。
  • 西村氏についてはたとえばGoogleで検索とかはてなブックマークのキーワードマッチとかやってみると、どうしてもネガティブな情報が見えてしまうと。(注:2006/10現在)
  • だからといって別にsennaというソフトウェア自体にまったく罪も問題もないし、GPL(正確にはLGPL)というオープンソースソフトで非常によく使われるライセンス形態をとっており、西村氏やあるいはその企業に直接的に利するものではないし、そもそもsennaはあくまで未来検索ブラジルのスタッフが開発したものであって西村氏個人のものではないと。
  • でもそれにしても、1件や2件ではすまない数の賠償金支払いの裁判所命令(確定判決)にも一切従わず、最近ではその裁判所に本人も代理人(弁護士)も出廷すらしないという行動は、事情はどうあれ社会人としていかがなものか?という視線はまぬがれようもなく、そういう人物が取締役を勤める会社が作ったモノであるということを知った世の大人たちの見る目というものは必ずしも一定ではないだろうと。
  • そういえば、Winnyを作った金子氏(別名47氏)が著作権違反のほう助の罪で刑事訴追された件の第一審判決は12月の予定。あれもあれでソフトに罪はない。金子氏の弁護士さんがアメリカのニューズウィーク誌に取材され、『「日本は、ファイル共有ソフトの問題に警察が出てくる。私は、異常だと思うのだが。あなたはどう思うか?」と担当直入に尋ねられたのは、「そのとおりと思う」と答えて苦笑せざるを得なかった。』というエピソードを披露している。うん。あの件もあの件でなんか異常。

まあとにかく、良い技術が、それとは直接関係のないしがらみやらなにやらで埋没することのないよう、技術者としての筆者は祈るばかりである。

GoogleのYouTube買収はGoogleのBlogger買収のデジャブ

とりあえず2000億円は高いとだけコメントしたものの、どうもなんだかどっかで見たような!?というデジャブを感じていたのだが、そうだ、思い出した。GoogleがBloggerを買収したときと似てる。何が似てるって、周囲の騒ぎ方とか、今後予想される展開とかが。

今でこそめずらしくもないブログサービスだが、日本の企業各社がよってたかって「ブログ、ブログ」と言い出したのは 2003年2月のGoogleが“Blog”作成ツール開発元のPyra Labsを買収(Internet Watch 2003.2)という報道がきっかけだったように思う。 詳しくはその後に筆者が書いた以下の記事を参照。

ブログブーム発生から現在までの展開(注:主に日本での)は次のとおり

  1. googleがBlogger買収
  2. 儲かるかも!?と思った各社がこぞってブログ作成サービスを開始 (儲からないかもと思っていても乗り遅れるわけにもいかないので仕方なく参入したという大企業病の方々含む)
  3. 自分でHTML書いたりFTPしたりするよりはよほど楽なので、みんなブログ書き始める。ブログの女王とか呼ばれる人も出現。
  4. 通常ユーザーは無料で、重い画像をいっぱい載せたりデザインに凝りたいユーザーには月額数百円程度いただく、という仕組みで小銭稼ぎが可能になった。が、有料オプションを使う人は全体の数%にすぎず、所詮は雀の涙。
  5. 一番儲かっているのは、「ブログでひと儲け」を夢見た上のような企業に対してブログ構築ソフトウェアをライセンス供給するごく一部の人たち=シックスアパートとかドリコムとか。 あ、Googleアドワーズ(アドセンス)も、広告表示サイトの大幅増という意味では超大もうけ。
で、上の流れで「Blogger」のところを「youtube」に、「ブログ」のところを「動画投稿」などに置換して読み直していただければ、今後の流れが予測できるかと。

フジTVのワッチミーとかも、自分で動画集めてないで、そのソフトウェアを他社にライセンスするビジネスにさっさと移行したほうがいいと思われる。あ、ソフトをフジTVで自社開発したわけじゃないっぽいから無理か。残念でした。(注:ここでいう「ソフト」とは動画素材のことじゃなくて動画を蓄積したり配信したりするシステムを指してます。念のため。)

というわけで、ゴールドラッシュのときに一番儲かったのは金を掘る人じゃなくて金山の前で作業用のズボンを売ってた人でした、という歴史がまた繰り返されようとしているだけのことであり、まあそれにしたって2000億円は高いんじゃないかなあ。しつこいようだが。

追記:
えっ?2000億円て現金じゃなくて株式交換だったの? googleは一昨年のIPOで資金潤沢だから現金かと思ってたよ・・・。 だったら「高い」とばかりは言えないかも。いや、それでも、ゼロ一個多すぎる気がするなあ。

2000億円はいくらなんでも高すぎ(Googleがyoutube買収の件)

Web進化論という本で有名な梅田望夫氏がyoutubeをGoogleが買収した件で一言。

GoogleがYouTube買収!!! 圧倒的に正しい戦略が迅速に執行されたのだと評価する (My Life Between Silicon Valley and Japan 2006/10)
要するにもう大絶賛。

しかし、筆者的にはその記事にコメントとしてつけられていた以下のコメントに激しく同意。

ただ、大きな訴訟リスクを負ったという印象が付き纏います。 これまでは訴えても賠償金を回収できないだろうという諦めがあったと思うのですが、Google相手だと話が変わりますから。うまく著作権の調整がつくといいですね。

2000億円?高いよ。なんぼなんでも高すぎ。

see also:
ITmedia アンカーデスク:GoogleのYouTube買収に見る「金はあっても考えなし」の愚

いいからまずLANケーブルを抜け!

まず、ベクターのソフトウェアライブラリウィルス汚染事件の流れ

  1. 社員のPCが汚染源となって自社のWebサイト上のソフトウェアライブラリがウィルス感染しました
  2. それに気づいてWebサイトのページを編集してソフトウェアへのリンクをなくしました
  3. でも外部からの直リンクをたどるとまだ問題のファイルにアクセス可能だったので被害拡大は続いてました (なお、これをもって「だから直リンクは禁止なんだ」とか言い出すバカが現れないことを祈る。)
参考: 【NEWS】ベクター、ライブラリ公開停止後も直リンクにてダウンロードされていたと発表(窓の杜 2006/10)

次。2005年の価格.com不正アクセス事件の流れ

  1. SQLインジェクションを通じてkakaku.comサイト上にウイルスを仕込まれる
  2. コトが発覚してからも、客に迷惑がかかるからという理由でサイトを開いたまま復旧を試みる
  3. その間に被害拡大

二つの事件の共通点:初動から間違えている。

Linuxセキュリティクックブック―システム防御のためのレシピ集
という本には次のように書かれている。

課題:
 ネットワークを介してシステムに不正侵入されたため、その状況から回復したい。

解決:
  1. あせらず、落ち着きましょう。
  2. ネットワークケーブルをはずします。
  3. システムの状況を観察しましょう。調査を進めるうちに発見した事柄はかならず逐一文書に残します。
  4. システムの完全バックアップを作成します。・・・・・
  5. (以下11項まで続くがここでは省略)

楽天とTBSの件が始まってそろそろ1年が経過するわけだが

さて、

株式会社東京放送に対する共同持株会社化を通じた統合の申し入れと当社による同社普通株式の取得について (【楽天市場】会社情報 2005/10)
という件からそろそろ1年が経過するわけだが、ご存知のとおりなーんにも起きていないし起きる様子もない。

あいも変わらず長い長い延長戦を続けているだけのことであり、ハンカチ王子vs田中君みたいな青春群像とは対照的な泥仕合のスコアは

ああオトナってやだねもう。

で、筆者的には去年書いたとおりで、「コーヒー(楽天)っておいしいよね」「うん、紅茶(TBS)もおいしいよね」「じゃあ二つを混ぜたらすごいのができるかもね!」という驚くべき三段論法をこれまた驚くべきことに本当に実行に移してしまったというだけのことであり、その結果というかセンスは「サザエボン」のそれと似たようなもんだねというのが素直な感想。

思えば知名度アップのためにプロ野球に手を出したあたりからボタンのかけ違いが顕在化してしまったのだ。キーワードは「知名度」である。

簡単なことだ。今の世の中、Yahooと楽天を知らない社会人はいない。ところが、

  • 「楽天の社長の顔と名前を思い出せますか?」
  • 「Yahooの社長の顔と名前を思い出せますか?」
という二つの質問をもってサラリーマンの聖地JR新橋駅前で「100人に聞きました」した結果を予想してみよう。つまりそういうこと。

そう。知名度が必要なのは「楽天」の2文字のブランドであって、社長個人じゃなかったはずだ。 ところが、世の中は丸顔のカリスマのほうに注目してしまった。まあそりゃそうだ。そのほうが話題性あるから。

気づいたときには後の祭りであり、もう今のような空気が出来上がってしまった以上は下手に顔を出してWeb2.0とかいうバズワードを口にするよりは普通に仕事してたほうがいいのではって大きなお世話だねごめんなさい。夜中の眠いときに書くとどうにも辛口になってしまってイカンなあ。

というわけでYahooの「誰にも嫌われない戦略」について情報収集すべく 「ヤフー・ジャパンはなぜトップを走り続けるのか」(吉村 克己 著)を注文した。週末にでもゆっくり読むことにする。

see also:
アフィリエイトの承認率が低い(キャンセル率が高い)理由(2004/8)
社長!気は確かですか?そんなやり方でIT導入を行えば絶対に失敗しますよ!(2004/11)
楽天の「大人のブックス」のその後(2005/7)
顧客リストは誰のものか(2005/8)
楽天vs店舗 外部リンク禁止を巡って裁判沙汰が進行中(2005/8)
ショッピングモールが外部リンクを嫌う理由(2005/8)
デジャブ?→楽天とTBSとAOLとタイムワーナーと(2005/10)
サラ金の利用者とショッピングモールの出店者の共通項(2006/1)
ショッピングモールというビジネスモデルの寿命はそろそろ尽きる論について雑感(2006/4)
楽天市場の課金額は一般的な企業のIT投資額よりちょい低いくらいだと思う (2006/6)
楽天、サイバーエージェント株を売却、の件についてメモ(2006/7)
集客機能つきのASP=楽天市場=の「楽天税」は高いか安いか(2006/9)

URLを変えるな!(3) - 後悔しないためのWebデザイン

前回から続き) さて、URLを変えないための、あるいは変えてしまったときにその悪影響を最小限にとどめるための、いくつか方策がある。体系的なものではないので以下適当に羅列する。

まず筆者が最近見かけたのは、とある企業のケースだ。その企業では各地方の支店ごとにページをつくっていた。こんな感じ。

  • 東京支店→http://www.example.co.jp/branch/tokyo.html
  • 大阪支店→http://www.example.co.jp/branch/osaka.html
ところが、なんらかの理由でPHPを使いたくなったらしい。で、こうなった。
  • 東京支店→http://www.example.co.jp/branch/tokyo.php
  • 大阪支店→http://www.example.co.jp/branch/osaka.php
結果、URLが変わってしまった。それまでの被リンクやメール上のURL、紙媒体に印刷されたURLもすべてパーである。

こういう事態を防ぐには、そもそもはじめからこうしておくことだ。

  • 東京支店→http://www.example.co.jp/branch/tokyo/
  • 大阪支店→http://www.example.co.jp/branch/osaka/
ファイル名で区別するのではなくてディレクトリで切る。それだけ。こうすることで、/branch/tokyo/index.html が /branch/tokyo/index.php になっても /branch/tokyo/index.jsp になっても /branch/tokyo/index.cgi になっても、URL的には変わらない。apacheでいうところのDirectoryIndex設定のフル活用。

MovableTypeであれば記事の公開設定で次のようにしておくことで上で説明したように「ファイル名できるのではなくディレクトリ名で切る」ようなことが可能である。
200610-url.png
「%e/index.html」とはつまり記事番号を名前とするディレクトリを掘ってそこにindex.htmlというファイル名で記事ファイルをつくれ、という意味である。

実は楽天市場も同じようなことをやっている。楽天市場の店舗の商品ページのURLはすべて http://www.rakuten.co.jp/店舗名/12345/98765/ になっているが、べつに http://www.rakuten.co.jp/店舗名/12345/98765/index.html でもアクセスできる。index.phpとかindex.jspでもないことから推定されるその意図は? なぜ http://www.rakuten.co.jp/店舗名/12345/98765.htmlではないのか? 世のWebデザイナーもエンジニアも、その裏にある設計思想というものについてよく考えるべきだろう。

もちろん、上で紹介したような原始的な(?)方法だけでなく、Apacheで言うMultiview設定を使うとか、.htmlであってもPHPスクリプトとして処理されるように設定してしまうことで従来のファイル拡張子の変更を不要にするとか、そもそもファイルの拡張子なんて無くしてしまうとか、技術的な手段は他にもいろいろある。詳細説明は割愛。

なお、もしも可能であれば、一番上の例では

  • 東京支店→http://tokyo.example.co.jp/
  • 大阪支店→http://osaka.example.co.jp/
のようにするとURLが短くなって良いのかもしれない。シンプルイズベスト。 サイトのアタマはwwwでなければならないと固く信じている人にとってはわけがわからないかもしれないが。

さて、不幸にしてURLが変わってしまった場合にはどうしたらいいのか? 404エラーページをカスタマイズしてトップページへ飛ばすリンクをそこに埋めるだけでお茶を濁すとかやってないで地道な転送設定を全力でやるべきだろう。 現実には何もされないケースがほとんどだが。

何かWebプログラミング的なテクニックで乗り切ることが可能なのであればそれに越したことはないが、そうでない場合にはWebサーバーの特殊設定で乗り切るしかない。apacheであれば httpd.conf あるいは .htaccess の設定で次のようにする。

Redirect permanent / http://new.example.com/ (ドメイン名だけ変わった場合)
Redirect permanent /fuga/hoge.html /nani/doko.html (ディレクトリ、ファイル名が変わった場合)
Redirect permanent /fuga/hoge.html http://new.example.com/nani/doko.html (何もかも変わった場合)
このように「Redirect permanent なんとか」を1,2行書けば済むか2、300行書くかはケースバイケースだが、少なくとも1000行以下ならば手作業でもなんでも意地でも書くべきだろう。他にもRedirectMatchとかいろいろ便利な方法はあるがここでは割愛。

何を考えているのか知らないが、無意味にサイトをいじくりまわしてURLをコロコロかえてしまうわりに、SEOが悩みなんですよ、とのたまうWebサイト担当者は意外と多い。自分で自分の首を絞めている典型である。(しかもそれに気づいてすらいないのかもしれない)

最後に、非常に重要な示唆に富む次の二つのページを紹介しておく。いずれも海外のサイトの日本語訳である。

これらを読んだ世のWebデザイナーやエンジニアに、URL(URI)はWebサイト構築における非常に重要な設計対象のひとつであることを再認識してもらえれば幸いである。

see also:
Alertbox: リンク切れとの戦い(1998年6月14日)
Alertbox: ユーザインターフェイスとしてのURL(1999年3月21日)

URLを変えるな!(2) - 後悔しないためのWebデザイン

(前回からの続き) 筆者のブログ Web屋のネタ帳は、おかげさまでもうかれこれ3年書き続けているが、トップページはもちろん過去の記事のURLも、変えたことは一度も無い。

したがって、過去、いろんなところからもらったリンクはほとんど全て生きている。 アクセス解析を見てわかるリンク元は、誰かのブログで紹介されていたときのリンク、 人力検索はてなの質問の回答としてこのブログの記事が紹介されたときのリンク、mixiとかYahoo掲示板とかその他もろもろの各種掲示板上で紹介されたリンク(注:その掲示板の書き込みというのも数日前だったり数年前のものだったり)、、、、などなど。特別なことなどなく、よくあるリンク元だ。 検索エンジン内のインデックス(≒つまり検索結果)として蓄積されているURLというのももちろん非常に大きい。

とにかく、古い記事とそのURLを変わらず生かしておく、というなんの変哲も無いことを実践しているだけなのだが、その効果は非常に大きい。なにしろ最近では2、3週間くらい新しい記事を書かなくても単位期間あたりのページビューはそれほど減らない。過去の記事へのアクセスだけで十分にカバーできている。 過去の記事のURLを変えないということは、アクセス数を減らさず、Webサイトの価値を保つうえで、非常に重要な作業なのである。

話は変わるが、はたと思い立って、いままでに筆者のブログに送信されてきたトラックバックすべて(数百件)について、そのURLをリンクチェッカーにかけてみた。もちろん301/302リダイレクトされてもきちんとそれを追跡できるリンクチェッカーを使った。結果は、404エラーだったURLと、ステータスコードすら返ってこなかったURL(ex. Webサイトのドメイン自体が消滅)とをあわせると、実に全体の16%のURLが消滅していた。 イケてないCMSだとそのURLの記事が消滅しているのにステータスコードだけは200や301/302を返してくるというケースも紛れ込んでいるはずだから(過去記事参照)、それも含めればこの数字はおそらく18%から20%程度になるだろう。

なるほどたしかに「リンク切れ集と化したリンク集」(笑)はよく見かける。 とにかく結果的に見て、せっかく作成され他のサイトからリンクも張られているURLは実に5分の1近い高確率で消滅する。なんでそんなことになるのだろう?

もちろん日記の三日坊主と同じで単に書かなくなりました/閉鎖しました、あるいは単に内容的に古すぎて役に立たない記事なので削除しました、ということなら仕方ないだろう。だが、違う理由のほうが多いと思われる。

ブログサービス、レンタルサーバーの乗り換え

ブログサービスであれば、たとえばexciteブログやめてココログに移ったのでURLが全部変わりました、というケース。プロバイダ等が提供するホームページスペースであれば、niftyやめてOCNに変わったので、URLも全部変わりました、といったケース。

この問題を解決する大前提は「初めから独自ドメインでサイトをつくること」である。いまどきのブログサービスないしレンタルサーバーは、当然のように独自ドメイン対応している。少々の金をかけてでもそれを利用するべきだろう。

このブログも、ブログ開始当初からもうずっと neta.ywcafe.net のままである。 じつはこの3年の間に一度レンタルサーバーを引っ越しているが、独自ドメインもあわせて引っ越してあるのでURLが変わってしまうという事態は難なく避けることができた。

くわしい人にとってはバカバカしいほど当たり前のことだが、「えっ!?レンタルサーバー会社(orブログサービス会社)を変えても独自ドメインはそのままにできるの?!」とか「すいません、そもそも独自ドメインってなんですか?」と思っている人のほうが世の中多いのだ。「自社でホームページ作ってあるので見てください」といって誇らしげに渡される名刺の隅のURLが「 http://****.ocn.ne.jp/~hogehoge/index.html」だったりするとWeb屋から見るとなんともお気の毒というか複雑な気分になる。最近はそういうのも少なくなったけど。

ソフトウェアの乗り換え

URLのドメイン部分が変わらなくても、サイト構築のソフトウェアを変えたがためにファイルパス部分が変わってしまい、その結果URLが変わってしまった、というケース。 いままで手作業でHTMLを書いてたけど、MovableTypeを使い始めましたとか、wikiにしてみましたとか、xoops、plone、etcetc...にしてみましたとか。

勉強のためにいろいろ使ってみるというのならともかく、サイトを長く続け、その価値を向上させたいのなら、最初によーーーーーーーーーーく吟味して、できるだけデファクトスタンダードで長続きしそうなソフトを選び、それを使い続けることが重要だ。筆者の場合は3年前にMovableTypeを選択した。MT自体のバージョンアップも何度となくやっているが、同じソフトなので記事のURLを変えないようにすることは容易だ。

その他の根本技術的な乗り換え

ページに何らかの動的な要素を加えたい、あるいは単にincludeの概念を使ってメンテを楽にしたいという理由でSSIやPHP言語に乗り換える例は最近増えてきた。結果、URLの最後の拡張子を.htmlじゃなく .php とか .shtml とか .jsp, .pl, .rb ... とかに全て変えてしまいました=全てのURLが変わりました。というケースもこれまた最近多い。

さて、これから始める人は以上のことを踏まえて、独自ドメインを取得しソフトをよく選ぶことから始めればいいが、すでにワナにはまって後悔しかけている人はどうすればよいのだろう?という話は次回。(ただしそんなすごい策があるわけではないので大きな期待はしないように)

URLを変えるな!(1) - 後悔しないためのWebデザイン

Webサイトの、あるいはWebページの、URLをコロコロ変えてはいけない。

Web業界人であれ非業界関係のブロガーで誰であれ、こんなことは理屈をどうこう言われるまでもなく感覚的に理解していることだろう。必要も無いのに電話番号やメールアドレスをコロコロ変えるとそのうち友達少なくなっちゃうよという感じのことと同じだ。

ところが、アタマでは理解しているのに自分のWebサイトではまるで違う結果が出ていて、さらにおそろしいことにその問題に気づいてすらいない、というケースは意外に多い。

手始めに、「URLを変えるな!」の例に挙げるにしてはちょっとズルいパターンから紹介しよう。

ケンコーコムという健康食品やグッズの物販サイトがある。そのURLは http://www.kenko.com/である。サイト内をしばらくウロウロしてみよう。 そしてトップページに戻ろうとおもむろに左上のロゴマークをクリックすると、http://www.kenko.com/ではなくてhttp://www.kenko.com/index.htmlという、違うURLに誘導されることに気がつくだろう。

おいおい!そんな重箱の隅つっつかんでも!という考えは甘い。これがどういう結果をもたらすのかは次の記事が詳しい。

秋元@サイボウズ研究所プログラマーBlog: あなたの企業、URL で損していませんか (3) ページ名の統一

URLは、特にトップページのURLは、ネット上でビジネス展開する企業にとって、顔である。 したがって、

  • ブラウザで自社サイトのトップページを見ているときにURL欄に表示されているURL
  • 社員の名刺に掘ってあるURL
  • サポート係がユーザーに伝えるURL
  • 広報係がマスコミに伝えるURL
  • 営業部が新聞や雑誌に広告出稿するときに掲載させるURL
  • メールマガジン、注文確認メール、営業マンのメール(の署名)、その他自社内から(できれば他社内からも)発信されるあらゆるメール上に記載されているURL
これら全ては一文字たがわず完全に同じURLが表記されていなければならない。 ひとつでもできていないのであればそれは「URLを変えるな!」という大原則を守りきれていないということだ。 もちろんマーケティングの都合上わざと意識してURLを変えて広報しているというなら話は別。

次回に続く)